60話 ページ11
双葉side
「謝る事でもないだろう。気にするな」
冷静を装ってはいるが、本当は兵藤がいた事に驚いて心臓がバクバクと鼓動が激しくなっていた。
どうする、絶対に顔を出てたぞ！！ まずいまずい！！ このままではまた変な噂が流れる！！
「それじゃあ、報告させていただきますけど……総司令、なんか顔が……」
「いいから報告をしろ」
ギロッと兵藤を睨むと、兵藤はビクッと肩を震わせ、少し慌てて資料を見ながら報告をし始める。
「わ、わかりました。総司令に頼まれた例の人型魔隆と今回の連続変死体事件の魔隆の異界の扉、そして最近多発しているブレイダー殺しの件を洗いざらい調べてみた結果、ある組織との関わりがある事が判明しました」
「……やはりか……」
最近、民間人や警察官、主にブレイダーが殺害されると言う事件が頻繁に起こっている。
被害件数は100件以上、史上最悪とも言える連続殺人事件。
犯人は複数で行動してると思われているが、未だ正体を掴めていないため、現在S級ブレイダーチームである
「それで、ある組織とは一体？ 」
「はい、宗教団体『ラヴァルダート教団』と言う理想主義な過激派宗教です。ここの信者は何度も暴力事件などを起こしたりと、ニュースになることも多かったみたいです。こじ開けられた異界の扉の側にも、ラヴァルダート教団のマークが壁に描かれてました」
「……ラヴァルダート教団……わかった。引き続き、ラヴァルダート教団の調査を頼む。他のS級ブレイダーにも伝えてくれ」
「了解しました。あっ、そうだ。それともう一つ」
兵藤はジャージのポケットから2枚の写真を出し、机の上にその写真を二枚置く
「最近起きたブレイダー殺しの事件で、殺されたのを見たとの証言がありまして……その目撃者が撮った犯人の写真がこれです」
2枚の写真を手に持ち、写真をパッと見ると、私は咄嗟に目を見開き、ガタッと椅子から立ち上がった。
「この2人は……」
「そ、総司令……？ 」
何故だ、何故この2人が……この2人が本当に関わってるのするなら……
「兵藤」
名前を呼ばれると、兵藤は「は、はいっ！ 」とビシッと敬礼した。
「木下に連絡しろ。『大事な話がある。今夜、いつもの場所で待っている』とな。私は少し出かける。用事が出来た」
「わ、わかりました……」
これが本当なら、『あの事件』にも関わってくるだろう。まさか、こうなってしまうとは……
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