離れられなくて。 (ページ39)

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母「ほーら、中にお入り？」

ぐいぐい背中を押され、半ば強引にお母様の部屋に入れられた。

...お母様、少し強引なところあるから。

錦「では、俺はここで... 。」

母「ありがとね、錦戸さん。」

一礼して錦戸くんは部屋から出て行ってしまった。

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お母様の部屋は、どうしても苦手だ。

部屋が綺麗すぎる。

THE・金持ちな部屋で、正直落ち着けない。

だから私は基本的にお母様の部屋には近づかない。

そんな私とは対照的に、お母様は自分の部屋を気に入ってていつも自分の部屋にこもっている。

...この部屋のどこがいいんだろう。

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母「今日は大学だったの？」

「 ....あ、はい。」

母「そう。呼び出して申し訳なかったわね。ごめんなさいね。」

私に少し頭を下げてくださった。

謝られるようなことはしてませんよ、お母様。

そう言おうかと思ったけど、言わないでおいた。

逆に気を使わせてしまう気がしたから。

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少しの間沈黙が続き、しばらくするとお母様はゆっくり窓の方へ向かった。

ゆっくり、ゆっくりと。

そして、窓にたどり着くと同時に、お母様はゆっくり口を開いた。

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母「安田さん、どう？いい人？」

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突然の一言にびっくりしてすぐには返事ができなかった。

「う、うん。すごく優しい人だよ。」

母「 ...そう。」

お母様はそう返事をするとまた黙り込んでしまった。

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