離れられなくて。 (ページ35)

今日:15 hit、昨日:4 hit、合計:75,956 hit

#34 ページ35

.

ニヤッと微笑む忠義。

“ やってやったぜ ”と言わんばかりのドヤ顔。

「な...ばれたらどうすんの！」

大「大丈夫やって。めっちゃ寝てるやん。」

確かに錦戸くんは爆睡してる。

顔は見えないけど、かすかに規則正しい寝息が聞こえてくる。

大「だってこれ逃したらいつAに触れられるかわからんもん。」

「だからって授業中にしなくたって... 」

大「問答無用。」

そう言うとまた私にキスをしてきた忠義。

いけないことだってわかってる。

だけど抜け出すことはできない。

忠義とのキスに溺れていく。

.

『じゃー、今日はここまで。お疲れさん。』

先生の一言でざわつき出す教室。

私はとっさに前を向いた。

錦「ん....終わったん...？」

眠そうに目をこする錦戸くん。

私は無言で頷いた。

錦「 ...行くで。」

椅子から立ち上がって私の手を握ってきた錦戸くん。

別に一人で行けるのにな。

.

錦「なんか冷たない？お前の手。」

「え...ああ....冷え性だから。」

錦「 ...今だけやからな。」

錦戸くんは手をつないだまま自分のポケットに手を入れてくれた。

そういえばだいぶ前、忠義もしてくれたなぁ。

これ、暖かいから好き。

忠義がしてくれたわけじゃなかったけど、少しだけ嬉しかった。

だから、後ろで忠義が切なそうに私たちを見ていたことなんて気づかなかった。

.