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「おいマルフォイ」というザビニの言葉は無視して、スネイプと入れ替わるようにドラコは真緒のそばに駆け寄った。
「おい」
真緒の腕を掴んで、自分の方に向かせる。
小さな頭越しに、歩みを止めたセドリックが見えてドラコは小さく息を吐いた。
「…何?」
怪訝な顔でドラコを見上げる真緒は、強がっているようで寧ろ泣きたいのを我慢しているように見えた。
「スネイプ先生に楯突くなんて馬鹿だな」
「楯突いてないわ!ただーー…学生時代になって仲が悪かったからって、やりすぎだと思っただけ。幾ら何でも…」
尻すぼみになる真緒の言葉に、やりとりの全貌を知らないドラコは頭をひねりながら、華奢な手首を掴んだまま玄関ホールを通り抜けた。
ドラコと同じ爛潺汽鵐瓩歩く度に指先を掠めて、それが何故かむずがゆい。
大人しくドラコの後ろを歩く真緒にちらりと視線をやると、黒曜石のような瞳とかち合う。
澄んだ瞳に見つめられ、昨日から胸の中を渦巻いていた、どろどろとした負の感情が溶かされていくのが分かった。
「…何だ」
あまりにも静かに見つめられ、ドラコはふいと視線を逸らして言葉を漏らした。
「何処に行くの?」
「…さぁね。真緒が悔し泣きするには、人目につき過ぎるから移動しただけだ」
「泣いたりしないわ」
「何だよ、去年は階段でも罰則でもぐずぐず泣いてたじゃないか」
ドラコの言葉に真緒が「それは一年生の話でしょ!」と憤慨した。
その姿がやけに幼く見えて、それがドラコを安心させた。
(そうだ、真緒はまだ子供なんだーー)
15歳のセドリック・ディゴリーが12歳のお子さまを相手にするとは思えない。
持ち前の人の良さで、困っていた真緒を助けただけに違いない。
(紳士として然るべき対応を、真緒は勘違いしてディゴリーに憧れたんだ…)
常に親切にしてやっている自分の立場はどうなるのだと思いはしたが、ドラコは自身を納得させた。
「ルーピンは兎も角、あの猛獣が処刑されなくて良かったじゃないか」
「…うん」
「そういえば、あのヒッポグリフが死なずに済んだんだから、真緒も見返りに僕の言うことを一つ聞くんだよねぇ?」
ふと思い出したいつかの約束を持ち出すと、「ドラコのお陰じゃないし、無効よ!」と真緒は頰を膨らます。
だが、そんなことは気にせずに、ドラコは「約束は守れよ」と念押しするのだった。
(いい気分で帰りの汽車に乗れそうだーーー)
fin.33
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M.S(プロフ) - 星ぶどう様*また気になる箇所等あれば教えてください(^^)/ (2020年2月27日 23時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
星ぶどう(プロフ) - M.Sさん» すみません、そうですね。本当にややこしい…(笑) (2020年2月27日 16時) (レス) id: 6721536779 (このIDを非表示/違反報告)
M.S(プロフ) - 連投すみません!やはりハリーは11歳の誕生日に入学許可証を貰っていることから、14歳のようです。星ぶどう様の言われるように、9月〜1年のため、早く生まれる子は1年生になってすぐに12歳になるようです!ややこしい…笑)引き続きたのしんでいただければと思います* (2020年2月26日 20時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
M.S(プロフ) - 星ぶどう様(*^^*)コメントありがとうございます!6年生のセドリックが17歳の年齢線をクリアしていることから、4年生の場合、14歳と15歳の生徒がいると判断しました!一度ちゃんと確認してみますね! (2020年2月26日 20時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
星ぶどう(プロフ) - 面白いです!面白いんですけど、31ページ、ハリーは7月が誕生日なので、まだ13才だと思います!英国は9月から6月までが一年間なので…。ちなみにドラコは誕生日が6月5日なので、遅い方ですね。長文すみません。更新頑張って下さい! (2020年2月26日 18時) (レス) id: 6721536779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M.S | 作成日時:2020年2月9日 21時