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ドラコの手が真緒の耳元に伸びるのと、真緒がドラコの方を向いたのは、ほぼ同時だった。
耳元へ向かっていた掌が真緒の頰を包み込む。
ドラコの端正な顔が至近距離にある。
(手が、大きいーーー…)
薄い虹彩が驚いたように見開かれている。
「っな、な、何?!」
目の前の肩を反射的に突き飛ばしていた。
ドラコは椅子から落ちはしなかったものの、がたんと大きな音を立てた。
「なっ、何するんだ野蛮人め!僕はただイヤリングを確認しようとーー」
「何の確認よ馬鹿!」
真緒が大声を出したところで、人影で電気が遮られた。
「騒ぐなら出て行きなさい!!」
二人揃って叩き出され、幸か不幸か気恥ずかしい空気は吹き飛んだ。
「言っとくが、珍しく君がイヤリングつけてるからーー」
「あらそう、だったらもう二度とつけなきゃ良い?ドラコが驚かずに済むように」
グリフィンドール寮へと歩き出した真緒の後ろをドラコが付いてくる。
「何でそうなる!毎日着けろってことだ」
「何で毎日着けるのよ!」
「普段使いの為に贈った!そんなに気に入らないって言うのか?!」
「そんなことは言ってない!」
「いいやそう言ってるようなもんだね!」
「気に入ってるから今つけてるんでしょ!」
真緒が勢いよく言い返し、来るであろうドラコの文句を待ったが、何も返事はなかった。
「ちょっと聞いてるの?」と振り返ると、怒っているかと思いきや目を見開いているドラコが口を小さくポカンと開けている。
「…気に入ってるのか?」
「…気に入ってるけど?」
「全然着けないのに?」
「それはーー…ちょっと恥ずかしいし…」
ドラコがずいと顔を近づけてきた。
真緒は頰が熱くなるのを感じた。
「着けてれば慣れるだろ。気に入ってるんなら、それらしく振る舞え」
どこか嬉しそうな顔でドラコが言うので、真緒は思わずこくんと頷いていた。
真緒を真っ直ぐに見るアイスグレーの瞳が細められ、身体の中がぎゅっと熱くなった。
「…っ、ドラコ、もう寮着いたけど」
「嗚呼、野蛮なグリフィンドール生に出くわす前に帰るとするよ」
馬鹿したように言ったドラコを「もう!」と軽く小突くと、「最終日は、玄関ホールを出たところで待ってろ」と頭にぽすりと掌を置かれた。
「なっ!〜〜〜〜っ、何よ…」
真っ赤になった真緒に、ドラコはニヤリとして片手をひらりと振りながら背を向けた。
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M.S(プロフ) - 星ぶどう様*また気になる箇所等あれば教えてください(^^)/ (2020年2月27日 23時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
星ぶどう(プロフ) - M.Sさん» すみません、そうですね。本当にややこしい…(笑) (2020年2月27日 16時) (レス) id: 6721536779 (このIDを非表示/違反報告)
M.S(プロフ) - 連投すみません!やはりハリーは11歳の誕生日に入学許可証を貰っていることから、14歳のようです。星ぶどう様の言われるように、9月〜1年のため、早く生まれる子は1年生になってすぐに12歳になるようです!ややこしい…笑)引き続きたのしんでいただければと思います* (2020年2月26日 20時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
M.S(プロフ) - 星ぶどう様(*^^*)コメントありがとうございます!6年生のセドリックが17歳の年齢線をクリアしていることから、4年生の場合、14歳と15歳の生徒がいると判断しました!一度ちゃんと確認してみますね! (2020年2月26日 20時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
星ぶどう(プロフ) - 面白いです!面白いんですけど、31ページ、ハリーは7月が誕生日なので、まだ13才だと思います!英国は9月から6月までが一年間なので…。ちなみにドラコは誕生日が6月5日なので、遅い方ですね。長文すみません。更新頑張って下さい! (2020年2月26日 18時) (レス) id: 6721536779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M.S | 作成日時:2020年2月9日 21時