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「ありがとう」と嬉しそうに甘いものを食べ始めた真緒に、「紅茶を持ってきてやる」とドラコは足早に客間へと歩いた。
「おい、紅茶だ」
「かしこまりました」
(それにしてもーーー…)
恐らく少し化粧もしているのだろう、人の家だから立ち振る舞いも気をつけているのか、妙に大人っぽい。
無駄に熱くなった頰を冷ましたドラコは、使用人から二つ紅茶を受け取ると真緒の元へと急いで戻った。
幸い、誰にも絡まれておらず、幸せそうにスイーツを頬張っている。
何だかその様子を見ると、いつも通りの真緒に思えて平常心が戻ってきた。
「もう食べたのか?」
「あっ、全部食べちゃ駄目なやつだった?」
「ドラコの分、残してない」と慌てる真緒に紅茶の入ったコップを渡す。
「構わない、人に渡したものを欲しがる程、卑しい人間には育てられていないからな」
「何それ」
「おめかししても、色気より食い気だな。君は」
ドラコの言葉に真緒が頰を膨らませて睨んだ。
クリームが唇の端にちょこんとついている。
おもむろに手を伸ばしたドラコは、唇の端についたクリームを指で掬って、ぺろりと舐めた。
「?!」
「甘いな」
真っ赤になって口をパクパクさせる真緒に、ドラコはにやりと口角を上げた。
「へぇーーそういう反応も出来るんじゃないか」
「なっ…!」
羞恥心から潤んだ瞳でドラコを睨んだ後、真緒は隣に座ったドラコから、ゴイル一人分のスペースを取った。
そして真っ直ぐ正面を見て淹れたての紅茶に口をつける。
その赤くなった横顔をじっと見ていると、真緒がドラコに視線をやった。
「見ないで」
「見るなと言われると余計見たくなるものだと思うけどねぇ」
「…〜〜っ、こんなところにいちゃ駄目なんじゃないの?色んなところに回らなくて良いの?」
見られることは諦めたのか、伏せ目がちに真緒が言う。
長い睫毛を見ながら「もう終わった」とドラコが言うと、真緒はおざなりに返事をしながら足をぶらぶらとさせた。
「足が痛いのか?」
「え?」
よく見ると靴擦れを起こしたのか、赤くなっている。
ドラコは膝をついて、真緒らしからぬ高めのヒールのパンプスをそっと脱がした。
「なっ、自分で出来るってば!」
「黙って座っていろーー…エピスキー」
ドラコが呪文を唱えて再び座り直すと、「ありがとう」と真緒が俯き気味に言った。
「慣れない靴を履くからだ、少し休め」
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エマ - ドラコが好きすぎます、、、これからも応援してます! (2022年3月23日 17時) (レス) id: 993b960046 (このIDを非表示/違反報告)
M.S(プロフ) - りの様)コメントありがとうございます!意地悪なところや不器用なところがありつつもカッコいいドラコを目指したいので嬉しいお言葉です。応援ありがとうございます、励みになります! (2020年2月3日 0時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして!めちゃくちゃマルフォイカッコいいです!応援してます (2020年2月2日 23時) (レス) id: 993ddb6aa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M.S | 作成日時:2020年1月16日 23時