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「掴まなきゃ、意味が無い」
「掴まなきゃ下手ってことでは無いでしょ?ハリーが先に見つけたのに、ドラコはすぐに追いついたじゃない」
「ーー…ま、何せ僕の箒は最新型だからね」
(技術じゃなくて、そこで箒自慢になっちゃうんだ…)
意図とは違うところで喜んでいるが、少しは元気が出たらしい。
真緒もホッとしてバスケットのお菓子を二人で食べていると、不意に教室の扉が勢いよく開いた。
黒い長いローブに真緒は飛び上がった。
「ーーー何を、している」
隠そうとしたが一歩遅かった。
ドラコの手にはパイ、真緒の手にはチョコレート。
その二人の手にある食べ物に素早く視線を走らせたスネイプ先生が、静かに口を開いた。
「土御門。掃除は、終わったのかね」
「あっ、はい!」
「ではーーーさしずめ、一仕事終え、ティータイムといったところでしょうな」
ぎらりと光った目で見られ、「ひっ」と小さく声を上げる真緒。
ドラコが慌てた様子で立ち上がる。
「せ、先生これは真緒が持ってきたものでーー」
「左様、君宛に慰めの品として持ってきたそうだ。そして土御門。ご存知の通り、教室はーー談話室では、ない」
後半部分を真緒をしっかりと捉えながら言うスネイプ先生。
ねっとりとした嫌味に真緒は顔をしかめた。
「反抗的な顔。それにお菓子の持ち込みでグリフィンドール5点減点」
「なっ、どうして私だけーー」
「罰則を延長して欲しいかね、土御門」
「いいえっ」
「寮へ戻りたまえ」
これ以上減点されたくなければな、という声が聞こえた気がして、真緒は逃げるように教室を後にした。
寮監と取り残されたドラコは、音を立てないように立ち上がる。
「ドラコ」
「ーー…はい」
「あの少女が気になるのかね?」
「なっ!まさかーーそんな訳ありません!!」
真っ赤になったドラコが背の高い黒い影を見上げる。
(そんなに頰を染めては、まるで説得力もあるまいーー…)
スネイプの心の声は聞こえるはずもなく、ドラコはぶんぶんと首を横に振っている。
「我輩の気のせいでしょうなーーだが…もしも気にしているのならば…言動や行動には、気をつけた方が良い」
その言葉の真意が分からず、首を傾げつつも「分かりました」と大人しく返事をしたドラコは、寮へと帰って行った。
fin.7
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作者名:M.S | 作成日時:2019年10月13日 11時