プラチナの王子様 (ページ4)

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フォローするかのように早口に言われた言葉に真緒は顔を上げると、ドラコの淡い青、アイスグレーと目が合う。

(なんか…優しい…？)

何とも言えない気持ちとなり、適当な話題を真緒は振った。

「えっと…ホグワーツは遠いの？」
「半日かかる。時間はたっぷりあるからな、僕が色々と教えてあげよう」

先ほどのフォローしていた気遣わしげな口ぶりは一瞬で終わったらしく、偉そうな口調でドラコはそう言った。

「あ…ありがとう」

真緒は口元をひくりとさせつつも、お礼を言う。
彼は真緒の引きつった顔には全く気づかず、意気揚々と組み分けについて話し出した。

ドラコはよく話し、同じくらい沢山、真緒に質問を浴びせかけた。

特に家族について詳しく聞きたがり、母親がグリーングラス家だと知ると嬉しげに鼻を鳴らした。

「僕と同じ寮にもいるよ、グリーングラス家の子がーーー」

ドラコがそう言って言葉を止めた。

「車内販売だ」

「坊ちゃん、お嬢ちゃん、何かいかが？」

「いただくよーーー買ってやる、好きなのを選べ」

「えっ、良いの？」

真緒は目を丸くしてドラコに聞いた。

ああ、とドラコは悠然と答えた。

「俺、大鍋ケーキ」
「俺も」

「お前らには言ってない」

ドラコは怪訝な顔で言ったものの、結局大鍋ケーキを二つ注文し、イギリス魔法界のお菓子を知らない真緒の為にも見繕ってくれた。

(偉そうだと思ったけど、意外と面倒見が良い人だ…)

色んなお菓子を一つ一つ律儀に説明してくれるドラコの話を聞きながら、真緒は彼の通った鼻筋をぼんやり眺めていた。

かぼちゃパイを頬張りながら、不意にこれからの生活のことを思って、不安な気持ちが真緒に湧き上がる。

残念ながら日本にいた時、友達が多い方ではなかった。

「…友達、か…」

「友達？嗚呼ーー…付き合う友達は選ぶ必要があるーーー僕が、その辺りも教えてあげよう」

この上から目線はどうにかならないのだろうか、真緒は日本人の得意な愛想笑いを浮かべながら、適当に相槌を打った。

「ーーまぁ、僕が君の最初の友達として、君のこれからの学校生活の面倒を見てやっても良い」

こう締めくくったドラコは、おもむろに立ち上がってクラッブとゴイルに此処を出るぞ、と言った。

真緒も何事かと慌てて立ち上がると、ドラコはおい、と言う。

「君まで立つなよーーそろそろローブに着替えたほうが良い。着替えたら、出て来ると良いよ」

fin.0