プラチナの王子様 (ページ25)

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「ねえ、代わりにさ、僕のお願いもきいてくれない？」

「なあに？」

「一緒にクィディッチの練習を見にきて欲しいんだ！箒に乗ったハリーをうまく撮れなくてーージニーも一緒に、行こうよ！」

「勿論。来週の土曜日ね、ジニーにも伝えておくわ」

ジニーに、練習の見学の話をしてハリーの写真を渡すと少し元気が戻ったようだった。

しかし、それも長続きはしなかった。

食事の時に、ロンが元気付けようと事件をネタに冗談を言ったのが見事に逆効果になり、あっという間にジニーは青白い顔に戻ってしまった。

その上、授業中も放課後も秘密の部屋の話で持ちきりだった。
ハーマイオニーが授業で質問した話が広まると、次は〝継承者〟についてだーーーいつのまにか〝継承者はハリーだ〟という噂が流れ始めると、ジニーはますます落ち込んだ。

追い討ちをかけるように、毎日のように雨が降り、じめじめとした湿っぽい天気も続いていた。

イギリスの気候に不慣れな真緒は、ジニーだけでなく自分まで体調を崩しそうだと、鼻をぐずぐずといわせていた。

(気のせい気のせい…)
そう、油断していたのが間違いだった。

「ちょっとトイレに行ってから大広間に行くね」

真緒はジニーにそう言って、フラフラと女子トイレへと向かった。

(顔が熱いーー…)

顔を洗って、熱を冷まそうと思った真緒は、覚束ない足取りで、廊下を歩いていた。

その様子を胡乱な目で見ている者が一人。

(…一体何をしているんだ…？)

昼食へいこうと大広間へ向かう生徒達の流れからはみ出て歩いていく黒髪を、変身術のクラスから出てきたドラコは視界の片隅で捉えていた。

気がつけばドラコは、その後を追うように歩いていた。

人の少ない廊下を歩き、ゆらゆらと階段を上りだした真緒。

(おいおい…そんな状態で上ったらーーー)

ドラコの危惧した通り、階段の五段目に足を掛けた真緒の身体はぐらりと傾き、そのままドラコの目の前に落下してきた。

「ぅわぁっ！」

突然の落下に、受け止めながらも自らも盛大に転んだドラコは痛みで顔を歪めた。

「君なぁっーーー…真緒…？」

顔が赤く、意識のない真緒にドラコはギョッとした。

(受け止めたつもりだったけど…打ち所が悪かったのか…？)

これはまずい、とドラコは意識のない真緒を何とかおんぶした。
首筋に当たる柔らかなほっぺはじんわりと熱い。

(熱があるじゃないかーーー)

医務室へと、ドラコは急いだ。