プラチナの王子様 (ページ22)

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自分で観察をし始めたら始めたで、首を傾げるのはいつも左だとか、考え事をしてる最中に髪の毛を指でクルクルするだとか、どうでも良いことばかりが目に付く。

全く弱みを握れないまま時間ばかりが過ぎる中で、ある放課後、ドラコは衝撃的な光景を目にする。

(嘘だろ…！)

真緒がクラッブとゴイルの二人と話していたーーーしかもにこにこと。

(僕とは話さないくせに、彼奴らとは話すのか…？！)

「おい！どういうことだ、何を話してた？」

真緒が立ち去るのを見送っていた二人にドラコは早口で詰め寄る。

「クラッブ！何を話してた」

「欠点を探ってた」

「本人に聞く馬鹿がいるかーーで、何て？」

呆れながらもドラコが尋ねると、「パエリアを食べてことないって」「見たこともないって」と口々に言う二人にドラコは口を半開きにして固まった。

「バームブラックもないって」
「そんなハロウィンじゃ人生損してるよなあ？」
「なあ」

ドラコが苛々し始めていることに鈍い二人が気づくわけもなく、時折真緒を馬鹿にしながら食べ物の話をし続ける。
(僕の方が知ってるのに…！)

髪を結う時、決まって髪ゴムを唇で挟むところ、食べる前に両手を合わせるところ、たまに細い棒を使って食べるところーーーー

「良いか？真緒とはもう話すなーー彼奴は血を裏切る者だ、分かったか？」

気付けば、ぽかんとしている二人に対してきつく言いつけていた。

(僕を差し置いて真緒と話すんじゃ、ない…！)

そんな独占欲が何故湧くのかも、そもそもそんな感情が起こっていること自体も、ドラコ自身は全く気づいてはいなかった。

fin.5