プラチナの王子様 (ページ21)

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母親の送ってくれたチョコレートを見つけたドラコはそれとハンカチをポケットに突っ込んで、真緒を探しに寮を出た。

「やあ、真緒。昨日のお返しにーーーあ、おい待て！」

ドラコを見た真緒は目を見開いて、回れ右して凄い勢いで走り去った。

(何なんだ一体…照れ隠し、か？)

その翌日も同じように、ドラコを見た途端走り出した。
更に追いかけたドラコに対して、「話しかけないでって言ったでしょ！」と大声を上げる始末だ。

(何なんだ…？)

意味の分からない真緒の行動にドラコは首をかしげる。

「箒を自慢されたからって、そこまで拗ねることないだろ」

「拗ねてない。それに箒のことで怒ったりなんかしないわ」

「怒ってるだって？」

(怒っていたのか？)
ますます混乱するドラコは、険しい顔の真緒に気取った態度で口を開く。

「僕は君に、何か失礼なことをしたかい？ーーだとしたら謝るよ」

器の大きさを見せつけるように言ったドラコに、真緒は表情をほんの少し和らげた。

「ハーマイオニーに謝って頂戴」

「は？何で、僕が？グレンジャーに？」

「ハーマイオニーがドラコを馬鹿にしたのは、ロンを馬鹿にされたからよ。貴方のその後の言葉は言っちゃダメだったわ」

「穢れた血の癖に出しゃばるのが悪い」

「それよ！どうしてそんなこと言うの？」

「何でそんなこと君が気にする？君だって純血だろう」

「…〝純血主義〟では、ない」

真緒が苦々しい顔で言う。
ドラコは、ようやく合点がいった。
(グリフィンドールに組分けされた時から可笑しいと思ってた…)

「ーー血を裏切る者なんだな？」

「何とでも言ったら」

ドラコが確認するように言うと、真緒はそう吐き捨てて足早に立ち去った。

「おい！いい気になるなよーーーチッ」

振り向くことのない後ろ姿にドラコは叫んだ。

(ちょっと可愛いからってーーーー…)

ポニーテールを睨みつけながらドラコは唇を噛み締めた。
(僕を怒らせたらどうなるか、思い知らせてやる…)

＊

ドラコがまず考えたのは、真緒の弱みを握ることだ。

だがこれは難航した。
何しろ日本から来た真緒は情報が少ない上、そもそも学年が違う。

仕方がないので一年生を捕まえて探りを入れるが、マホウトコロでの知識がある真緒は成績も良く、態度も良いーーー強いて言うなら、スネイプ先生に喧嘩を売ったことや、魔法史に他の科目の宿題をやってるくらいだ。
(そんなんじゃだめだ…)