プラチナの王子様 (ページ17)

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「私達も行かない？」

ジニーは真っ赤になって首を横に振る。

「邪魔になるわ」
「見にいくだけなら大丈夫よ、きっと」

真緒はにこにこと笑って、ジャムサンドをお皿に載せる。
ジニーがハリーの分も、と追加で載せていく。
赤のハンカチを取り出した真緒は、杖を振って「エンゴージオ」と唱えて風呂敷サイズにした。

ハンカチでお皿ごと包む様子を物珍しそうにジニーは見た後、競技場へ歩きながら口を開く。

「ねぇ、何かしら」

競技場付近で言い争っている赤と緑の集団。
コリンがいるようだが、ハーマイオニーやロンはいない。

何事かと駆け寄ると、怒りの篭った声でグリフィンドール生が経緯を説明する。

何かを吐き出す真似をしているスリザリン生は、どうやら杖が逆噴射したロンの真似らしい。
その選手らの中に、プラチナブロンドが輝くのが見えて、真緒は失望した。

「それでハリー達は？」
「おいジニー、ナメクジを吐いてるのはロンで」
「悪口を言われたのはハーマイオニーだぜ？」

「「なのにハリーとは」」

「〝達〟って言ったじゃない！」

真っ赤なジニーは駆け出して、真緒が双子をげんなりした顔で見ると二人は揃って肩を竦めた。

「「そう怒るなよ、ハニー？」」

「どうするウッド？半分ずつ使うか、ポッターを探すか、それとも皆でナメクジを吐くかーー」
「このことは先生に報告させてもらう」

「あぁ、うちの新人シーカーに呪いをかけようとした馬鹿が自爆したってちゃんと伝えてくれ」

ウッドは今にも殴りかかりそうな勢いで「キャンセルだ」と言って踵を返す。

「わざわざ新しい戦術を見せてやる必要はない。そうだろ？」
「ああ、その通りだ」

「先生に言って、午後に改めて予約しましょう」
「その頃にはハリーも戻ってくるわ」

「ああ、俺たちの腹も満たされて」
「練習にも身が入る」

赤と緑の選手達が逆方向に歩き出す。
真緒が校舎の方に向かいかけたその時、その揺れる黒髪にドラコが声をかけた。

「見ろよ、ニンバス2001だ。父上がチーム全員に買って下さったんだ」

「そう。良かったわね」

驚くほど冷たい声が出た。
ドラコは眉をぴくりとさせたが、余裕な笑みは崩れなかった。

「先月出たばかりの最新型だ。今度君も乗せてやるよ」

「結構よ」

「…一体どうしたんだ」

ぴしゃりと跳ね除けた真緒にドラコは不思議そうな顔をする。

「別にーーただ、失望しただけ」

その言葉にドラコはフッと笑った。