プラチナの王子様 (ページ14)

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新学期が始まってからの最初の金曜日。

ドラコは、スリザリンのクィディッチの選抜試験を終えて、ぷらぷらと歩いて校内に戻ってきた。
(上出来だった…間違いなく合格だ…)

満足げに歩いていたドラコは、ピーブズが浮遊しているのを発見した。

関わるとロクなことがないと、ピーブズを見なかったことにして違う方向に曲がろうとすると、ドラコの視界の片隅に見覚えのある髪飾りが目についた。

(あれは…)

「おい、何故それをお前が持ってる」

「おぉぉや、スリザリンの坊ちゃんじゃないかぁ！これがどうかしたかな？」

にやにやと笑ってバレッタとドラコを見比べるピーブズ。

「どこで見つけた？言わなきゃ、僕の寮の男爵を連れてくるが？」
「ーーおぉぉ怖い怖い！これは小さなお嬢ちゃんが助けてくれと差し出したのさぁ、階段にはまりながらねぇぇ」

ケタケタと笑ってピーブズは姿を消した。
バレッタはからん、とドラコの足元に落ちた。

(階段にはまった、だとーー？)

ドラコはバレッタを拾うと、足が捕らわれる階段のことを思い出していた。
ドラコは父親に、入学前からホグワーツの話を聞かされていたが、足がはまる階段はドラコが知る限り三つだ。

そのうち一つはあまり一年生が立ち入らない校長室の近くのものだから可能性は低い。

ドラコはバレッタをきゅっと握り締めて、真緒を探す為に動き出した。

玄関ホールにいたドラコは階段を駆け上がる。

(いつ、階段にハマったんだろうか…)

一つ目の階段に真緒は見当たらなかった。

「っくそ…」

まだ慣れない校内で、一人で不安だろうーーードラコはいつの間にか校内で走っていた。

(居たっ…！)

見覚えのある黒髪に、額の汗を拭ったドラコは足早に近づいた。

「そんなところで、何してるんだい」

ドラコの呼びかけに、真緒はパッと上半身だけで振り返った。

「君は足を階段に突っ込む趣味があるのかい？」

ドラコは階段を降りて、最後の一段を飛ばした。
にやりと笑って彼女を見る。

「…そんなわけ…」

ドラコを睨む黒曜石の瞳は今にも泣き出しそうで、弱々しい声で反論した。
真緒の両手で抱えている鞄があっては、彼女を階段から持ち上げることも出来ない。

「引っ張り上げるしかないか…おい、荷物を貸せ」

受け取った鞄を丁寧に置いたドラコは腕捲りをする。
「クラッブとゴイルは？」と聞いてきた真緒に呆れながら、向き直る。

「いつも一緒にいるわけじゃない」