プラチナの王子様 (ページ11)

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「それならそう素直にいえば良いものを」と、続けたドラコに真緒は顰めっ面を向けた。

「そういうことじゃないわ」

最早ドラコの耳に真緒の言葉は届いていなかった。

「無視されて拗ねている」という認識で決定づけられたらしく、真緒が何を言っても受け流される。

あろうことか、クラッブやゴイルがお菓子を離そうとしない時に向ける〝仕方ない奴だな〟というあの表情を浮かべてだ。

思わず真緒が悔しさでふるふるとしているところに、ジニーが駆けつけてきた。

「真緒！大丈夫？」

「え、あ、うん」

ジニーはドラコをキッと睨んだ。

「マルフォイでしょ？ハリーとロンにいっつも突っかかってる」

「ふんっ、あいつらがそうさせる」

ドラコも負けじと睨み返した。
そして、真緒にちらりと視線をやる。

「真緒がグリフィンドールになったのは仕方ない。けど、せめて友達は選んだ方が良い」

「何なのあんた！偉そうに」

「少なくともお前よりは偉い」

「何ですって？！」

このままじゃ大喧嘩だと思った真緒は、ジニーを庇うようにドラコの前に進んだ。

「ジニーは、親友になると思うわ」

その言葉にドラコの顔が歪む。
言い返そうと口を開きかけるが、かしゃかしゃという音にそちらへ顔を向けた。

コリンだ。
カメラでハリーを撮って、サインをねだっている。

「おや、ポッターのお出ましだ」

ドラコは二人からハリーにターゲットを変えたらしい。
クラッブとゴイルを率いて、中庭を闊歩した。

「ポッター！君はサイン入りの写真を配ってるのかい？」

中庭の生徒達まで巻き込んで、ハリーに喧嘩を吹っかけるドラコを複雑な面持ちで眺めていると、ジニーが気まずそうに口を開いた。

「ねえ、もしかしてマルフォイと知り合いだった？虐められてると思って来たんだけどーー…」

「良いの、ただ…コンパートメントが一緒で、親切にしてもらったから」

真緒は眉根を寄せ、目の前の光景を見つめながら言う。
(王子様なんてーーーあれじゃただのいじめっ子じゃない…)

「こんなこと言いたくないけど、あいつと友達になるなんてそれこそ〝選んだ方が良い〟よ」

真緒は唇を噛んでプラチナブロンドを見つめた。

コンパートメントでのドラコは、偉そうな態度はあるものの意外と面倒見もよく、何より優しかった。

けれどーーー

ジニーやハリーに喧嘩を吹っかける、意地の悪い表情のドラコは、見たくないと思った。

fin.2