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38 ◆ ページ38

昔から泣き虫な所も変わらないなと、思わず笑みが漏れた。

今日は沢山泣いたなとAの目元をそっと撫でる。明日は腫れてるかもしれないと言えば、誰も見ないから平気だとAは眉を下げて笑った。


泣かせたのは俺だけど、俺のために泣いたのだと思えばそれすらも愛おしくて仕方がない。

どこまでもAに溺れた思考に、これが人を愛することなのだと納得した。


誤解と呼んでいいものかは分からないが、蟠りが解けて心が軽くなった。

Aが俺の前から姿を消した理由は予想していた通りだったし、それが嘘じゃないことくらい俺には分かる。

これでAの抱えていた不安も綺麗さっぱり無くなっただろう。

いつか、そんなこともあったなって笑える日が来る。長い人生の途中なのだから、一つの思い出として胸に刻んでおくことにしよう。



「昔の話したら懐かしくなったな。あの部屋、見に行かね?」

「え、でも…外出ない方がいいんじゃないの?」

「夜中だし大丈夫だろ。」



外に出させたくなかったのは、俺の立場上いつ危険が訪れるか分からないから。それが大半なのは本音だった。

ほんの少しだけ、またAが消えてしまうかもしれないと疑ってしまったのもある。

今朝連れてきたばかりでAの気持ちが分からなくて、制限を掛けてしまった。そんなことも最早、必要ないのかもしれないけれど。



「念の為にフード被ってマスクして、サングラスは車にあるから後で掛けとけよ。」

「蘭くんってそんなに危ない人なの…?」

「とんでもない極悪犯罪者♡」



笑わせるつもりで言ったのだが、Aがドン引きしていて悲しくなった。

とは言っても、俺が普段どんな仕事をしているのかまだ話していなかったから仕方がない。移動中にでも話すことにして、身支度を整えたAの手を引いた。


いくら東京と言えど冬の深夜はさすがに寒い。玄関から出た途端に襲ってくる冷たい外気に、Aが寒いと声を震わせて俺に体を預けてきた。

エンジンスターターのスイッチを押し、エレベーターに乗り込んで地下まで降りた。最近ご無沙汰だった愛車のエンジン音が広い地下駐車場に響いている。



「蘭くんって運転出来るの?」

「無免だけど捕まったことも事故ったこともねぇな。」

「犯罪じゃん…って、今更だね。」



悪態を吐けるのは元気な証拠。愛車のドアを開けてエスコートすれば、嬉しそうに笑って乗り込むAが可愛かった。

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れん(プロフ) - まゆさん» まゆさま、コメントありがとうございます!お褒めの言葉、とても嬉しく思います!「一生幸せ」も読んでくださってありがとうございます☺️全然系統が違うのに一気読みしていただけて嬉しいです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります✨ (3月18日 19時) (レス) @page23 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 初コメ失礼致します。お話が面白くメチャクチャ引き込まれてしまい、気づいたら一気に読んでしまいました!あと実は、れん様の他の蘭君のお話しも一気に読ませていただきました!どれも最高に良かったです!!更新頑張ってくださいね。応援しています。 (3月18日 8時) (レス) @page23 id: e4a4033c2e (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - とわさん» とわさま、コメントありがとうございます!沢山の蘭くんの小説の中からこちらを見つけてくださって嬉しい限りです!貴重なお時間を使って読んでいただいている分、面白かったと思ってもらえるようなお話に出来るよう頑張ります☺️ (3月16日 1時) (レス) @page21 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
とわ - 蘭くんの小説探してたらみつけたんで読ませていただいてます!めっちゃいいっすね…まじ好きな感じできてて… これからも読ませていただきます!応援してます!頑張ってください! (3月15日 3時) (レス) @page21 id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - kizunaさん» kizunaさま、コメントありがとうございます!こちらのお話にも遊びに来てくださって本当に嬉しいです☺️更新頑張りますので、またお暇な時に読んでいただけたら幸いです…! (2月23日 21時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れん | 作成日時:2024年2月23日 0時

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