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警察がAを捜索している、か。
何も考えていなかったと言えば嘘になる。だけど、こんなにも早く特定されるなんて思わなかった。
九井の言う通り、警察だって馬鹿じゃない。梵天という組織の人間は上手く躱せるとしても、Aは一般人だ。
そう、ただの一般人。事件に巻き込まれただけの、ただの被害者。
梵天とは一切関係ないと言いたい所だが、俺と繋がっている以上そうとは言い切れなくなってしまった。
警察署に出向いて無実を主張すれば済む話かもしれないが、そうしてほしくない俺がいた。
俺の保身どうこうじゃない。もしかしたらそれが、最後に見たAの姿になってしまうかもしれないからだ。
他の誰かが死のうとも、梵天がどうなろうとも、そんなことは瑣末なこと。
俺が捕まることだって厭わない、とは言えないな。俺が捕まったらまた離れ離れになってしまう。それでは本末転倒だ。
また九井に金でも握らせれば、俺には思い付かないような策を講じてくれるだろう。あれこれと考えるのは後だ。
今は一刻も早く、Aの顔が見たい。
ただいまと言って抱き締めて、優しく髪を撫でてキスをしたい。
まだ見慣れない新しいマンション前で車を降りる。
昔もそうだった。新しく借りた部屋へ帰る時、見慣れない景色に一々新鮮さを感じていたことを思い出す。
エントランスからオートロックを解除してエレベーターに乗り込む。その僅かな時間さえも惜しいくらい、早くAに会いたくて仕方がない。
ドアを開けたら「おかえり」と出迎えてほしい。そんな淡い期待を込めながらドアノブに手を掛けた。
だが、そんなに都合良くはいかない。ドアを開けてもAは来なかった。足音も声も聞こえない。
ただいまとリビングのドアを開けて驚いた。どこにもAがいない。
「Aー？」
その声に返事はない。死角になるようなスペースもない。ふとテーブルに目をやれば、昼間に渡した新品のスマホが置かれていた。
寝てしまったのかと寝室を開けても中は真っ暗で、掛け布団が綺麗に畳まれていた。ここにも、Aはいない。
もしかして、出て行ってしまったのか。
柄にもなく焦って玄関へと走り出した時、流れる水音と同時にトイレの扉が開いた。
「わっ、びっくりした…お帰りなさい。」
中から真っ青な顔をしたAが出てきた。
何事かと聞くよりも先に、帰りを待っていてくれたことに安堵した俺は力なく壁に寄り掛かった。
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れん(プロフ) - まゆさん» まゆさま、コメントありがとうございます！お褒めの言葉、とても嬉しく思います！「一生幸せ」も読んでくださってありがとうございます☺️全然系統が違うのに一気読みしていただけて嬉しいです！これからも楽しんでいただけるよう頑張ります✨ (3月18日 19時) (
レス) @page23 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 初コメ失礼致します。お話が面白くメチャクチャ引き込まれてしまい、気づいたら一気に読んでしまいました！あと実は、れん様の他の蘭君のお話しも一気に読ませていただきました！どれも最高に良かったです！！更新頑張ってくださいね。応援しています。 (3月18日 8時) (レス) @page23 id: e4a4033c2e (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - とわさん» とわさま、コメントありがとうございます！沢山の蘭くんの小説の中からこちらを見つけてくださって嬉しい限りです！貴重なお時間を使って読んでいただいている分、面白かったと思ってもらえるようなお話に出来るよう頑張ります☺️ (3月16日 1時) (レス) @page21 id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
とわ - 蘭くんの小説探してたらみつけたんで読ませていただいてます！めっちゃいいっすね…まじ好きな感じできてて… これからも読ませていただきます！応援してます！頑張ってください！ (3月15日 3時) (レス) @page21 id: 8407209a34 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ｋｉｚｕｎａさん» ｋｉｚｕｎａさま、コメントありがとうございます！こちらのお話にも遊びに来てくださって本当に嬉しいです☺️更新頑張りますので、またお暇な時に読んでいただけたら幸いです…！ (2月23日 21時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れん | 作成日時：2024年2月23日 0時
