4 【side you】 ページ4
「それでねー、…?」
「…?」
ふと、背後に誰かいる気配がした。
私たちのテーブルに影が落ちる。
2人同時に振り向こうとした瞬間だった。
「うわっ!!」
長い腕が伸びてきて葵の首に巻き付き、葵が驚いた声を上げて肩を揺らした。
「葵取ーり♡」
間延びした声が頭上から聞こえる。
振り向けば、変わった髪色をした男の人が2人立っていた。
三つ編みの人は葵を抱いていて、メガネの人は呆れたように髪を掻き上げて溜息を吐いた。
「兄貴…ここ店内…。」
「どこだろうが関係なくねー?」
「蘭ちゃん!!」
葵が怒ったように声を上げる。
今だに抱きついている男の人は確かに彼女の名前を呼んでいた。
「知り合い?」
「どうもー。葵の旦那でーす。」
「…えっ、葵、結婚してたの…?」
「違う!まだしてない!かっ、彼氏…!」
照れたような、恥ずかしいような。そんな表情でぽつりと漏らす葵と、にやにやと笑う男の人。
何がどうなっているのかと困惑していると、隣の席に人の気配。
「ごめんな。せっかく葵ちゃんと遊んでるってのに。」
「いえ…。あの、どなたですか?」
メガネの人が私の隣に座り、申し訳なさそうに謝ってきた。
「灰谷竜胆。そこにいるのは俺の兄貴で、葵ちゃんの…旦那、って言うか…彼氏。」
「そうなんですね。」
「葵と仲良くしてくれてありがとなー?灰谷蘭、よろしくー♡」
一緒に食べようと、お兄さんが言った。
葵がむすっとした顔で、私にごめんねと呟いた。
「今日出掛けるからって言ったのに…!」
「葵、彼氏いたんだ。びっくり。」
「ごめんね…なんか恥ずかしくて言い出せなかった…。」
「気にしないで。そういう話も、遠慮なくしていいから。」
「Aちゃん〜!」
泣きそうな顔をしたり、笑顔になったり。
コロコロ表情が変わるの、可愛いなって思った。
まだ仲良くなって日が浅いけど、これからもこんな風に一緒にいれたらいいな。
「竜胆ー、俺サラダとダブチー、アイスコーヒーで。」
「自分で行かねえのかよ…ったく…。」
蘭さんが竜胆さんに注文していて、溜息を吐いて席を立った。
「あーっと、Aちゃん?だっけ。」
「はい。」
「おかわり、何かいる?お詫びに奢る。」
「え、いや…お気遣いなく。」
「…じゃあ、運ぶの手伝ってくんね?」
いいですよ、そう返事をして席を立った。
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れん(プロフ) - kizunaさん» kizunaさま、コメントありがとうございます!こちらにも遊びに来ていただけて嬉しいです!好みだなんて勿体無いお言葉…!更新の励みになります😭また遊びにいらしてくださいませ! (2月25日 23時) (レス) id: 160e1714c7 (このIDを非表示/違反報告)
kizuna(プロフ) - 本当に作者様の作るお話が凄く好みで最高です!これからも頑張って下さい! (2月25日 19時) (レス) @page31 id: 0b38a899d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れん | 作成日時:2024年1月30日 21時