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私が圧倒されていると、彼が静かにつぶやく。けれど、二人は全くきいていない。
今「おいなぜ貴様がAさんを知っている!?」
三「はっ、バカめ、聞いて驚け?Aさんはなぁ、俺と数日違いで運命的にうちに転校してきたんだよ!」
今「な、なんだと……?」
運命じゃないし、転校してきたの伊藤くんもだし。今井くんもなぜショック受けてるの?
ツッコミが追いつかず、傍観するしかない。
三「つまりな、俺とAさんはなぁ、同じ学び舎に通う先輩と可愛い後輩、という訳だ!!」
『別に可愛くはないけど』
三「んんん相変わらず手厳しいぃぃ!!」
今「くそおおお!!羨ましすぎるぞ三橋ぃぃぃ!!」
騒ぎ続ける二人越しに彼を見ると、私が見たことない表情をしていた。静かに怒りに震えるその姿は、私の幼馴染のさとちゃんではなかった。あれが、開久の頭を張る片桐智司なのだ。
片「黙れっつってんだろ!」
三「ドーンッ!!」
彼がいよいよ我慢の限界を迎えた瞬間、振り向きざまに三橋くんが右フックを繰り出した。けど彼はビクともしないでそこに立っている。三橋くんも驚いている様子だ。
すごい、本当に強くなったんだ……。
片「泣き入れろ、半殺しで勘弁してやる」
彼がそう凄むと、三橋くんはゆっくり拳を下げた。が、今度は開久の子達の後ろを指さしこう叫んだ。
三「やべぇ、おまわりさんだ!」
『え!?』
みんなが一斉に振り向く、今井くんも三橋くんが指さした方を見ているが、どう考えてもそこにお巡りさんの姿はない。
『あっ!さとちゃん!!三橋くん逃げちゃったわ!!』
今「てめぇ!一人で逃げるなァァァ!!」
私と今井くんが同時に叫ぶと、みんなが三橋くんが走り去った方へ追いかけて行った。残ったのは、私と相良だけ。
『ちょっとぉ!こいつどうすんのよぉ!』
仕方なく、私は相良を背負ってみんなを追いかけることにした。いくら私が普通の女子より力持ちとはいえ、男子一人背負って走ることはできない。
『んんんん……見た目より重い』
けど、置いていく訳にも行かずよろよろとした足取りで路地を出る。すると幸か不幸か商店街にはみんなが通った形跡が嫌というほど残っていた。
悲痛な叫びや怒号が響く中を、そっと通り抜けみんなの後を追う。
どうして私の傍にいるのは、昨日から彼じゃなく相良なのだろう。今日は確かにこいつを探していたのだけれど、せっかく偶然にも彼に会えたのにすぐに離れ離れになってしまった。
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彼方(プロフ) - なーなーさん» 初めまして、コメントありがとうございます!幼少期の片桐くんの可愛さを受け入れていただいて嬉しいです(*^ω^*)可愛くしすぎてかっこいい片桐くんが好きな方に怒られるんじゃと不安でした笑。今後もこの作品をよろしくお願いします! (2018年12月28日 19時) (レス) id: 93a2639ec6 (このIDを非表示/違反報告)
なーなー - はじめまして!もう本当、読みながらニヤニヤしてますw 幼少期の智司可愛すぎか( ˙-˙ ) (2018年12月27日 23時) (レス) id: ceacf0dbdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼方 | 作成日時:2018年12月17日 15時