先生と私の日常(105) ページ8
A『あれ…ない……』
ゴミ箱の中を必死にあさるが、探し物は見つからない。
どうしても、見つけたいのに……
(龍田先生の言ったとおりだった……私、最低なことしちゃった……)
庇ってくれた友人。
気持ちがわからなくて、知るのが怖くて…逃げ出した。
勝手に決めつけて……心を閉ざしたから……
(謝りたい…今朝の事。だって、まだ…一緒にいたい……)
知花ちゃんが気付かせてくれた大事なこと。
もう、自分の気持ちに嘘をつきたくない。
(私、まだ…ありさと友達でいたい)
ちゃんと二人で話したい。
ありがとうって言いたい。
先程はクラスメイトも先生もいたため、ありさ個人にはまだなにも言えていない。
(なんで見つからないの……)
いくら探っても、手紙だけが見つからない。
どこにあるの……
龍田「やっぱりここにいた。探してるのは、これ?」
先生が手に持つそれはまさしく探していたのもだった。
A『先生…どうして……』
龍田「大切なものだからね…預かってた」
(ありがたいような、そうでないような……)
無駄に探し回っていたことに気づき、『なんのために私…』という疑問が浮かぶ。
A『…ありがとうございます。どうして私が探してるの、わかったんですか?』
龍田「だって心優しいAちゃんが、あの時あの場に岸さんがいたことになにも思わないような子じゃないでしょ?その後すぐにやりたいことがあるって言ったから…これの事しか思い当たらなくて」
A『心優しくないですよ。……返してください』
目を細めてちょっと試すみたいに私を見る先生。
でも、特に何も言うでもなく手紙を手渡してくれた。
龍田「……それにはね、岸さんの勇気が詰まってる。勇気ってね、ほんの少しでも出すことができたなら、人を変えてくれるんだ」
空を見上げて、先生は続ける。
龍田「Aちゃんの勇気は鈴木さんにちゃんと届いた。その勇気は鈴木さんが受け継いだ。勇気のリレーみたいだ…岸さんの勇気は届くのかな?」
A『……?』
なんだろう。
今の先生はまるで、時の流れを読んでるみたいな……先生にはわからないことなんてないみたい。
特別なオーラを纏ってるみたい。
龍田「ほら、もう行って。これ以上授業サボるのは許さないよ」
それもそうだ。
手紙をしっかり握りしめ、急いで教室に戻る。
手紙には温かみがあって、ありさみたいだって思えた。
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暁(プロフ) - 星月夜さん» コメントありがとうございます(o^―^o)ニコそうなんですよね。夢主ちゃんの人生は波乱万丈で少し可哀想な気もしてきます…(笑)更新は本当にバラバラですが、今後もこの作品のことをよろしくお願いいたしますペコリ(o_ _)o)) (2017年12月3日 17時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 面白い展開ですね。本当に一難去ってまた一難って、感じで読んでてハラハラしちゃいます(о^∇^о) (2017年12月3日 16時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - かたつむりんさん» ありがとうございます!何度も嬉しいコメントをありがとうございます。長くなってしまってますが、最後までお付き合いいただけたらと思います(o^―^o)ニコ (2017年10月25日 23時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
かたつむりん(プロフ) - 第参弾おめでとうございます!鈴木さんと和解できてよかった……。これからも頑張ってください! (2017年10月25日 16時) (レス) id: f35d15b5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年10月24日 22時