先生と私の日常(110) ページ13
鈴木side
大八木「A…大丈夫かな」
そんな声が教室から聞こえてきた。
大好きな声。
鈴木「大八木先生、今…いいですか?」
大八木「え、鈴木さ、ん…?どうして……」
鈴木「あの…私、井上さんに酷い事して、先生たちの迷惑かけちゃって……すみませんでした」
深々と頭を下げる。
いろんな思いがこみ上げて、泣きたかったが、泣くわけにはいかなかった。
私に泣く資格なんてないから。
鈴木「謝って許されることだとは思ってません。それでも…ごめんなさい」
大八木「鈴木さん…顔上げて」
少し戸惑ったが、大人しく言うことを聞く。
大八木「鈴木さんは…ダメだったことをちゃんと自分でわかって、後悔してる。このままじゃダメだって思ったから、わざわざ謝りに来てくれたんでしょ?その気持ちがあれば大丈夫…」
鈴木「…龍田先生は、どうなりますか?」
私がこんなことを聞くのは間違っているけど、どうしても気になった。
クラス単位のいじめ……非難の声は実行者だけに上がるのではない。
当然、そうなる前に対処できなかったのかなどという氷の言葉が担任にも牙をむく。
責任を一番負うのは、私じゃない。龍田先生だ。
(私が…そう、追い込んでしまった……)
鈴木「この学校に、まだいてくれますよね?ずっと、担任で…」
大八木「いるよ。大丈夫、康はずっとこのクラスの担任だ」
大八木先生の言葉は、まるでそうであってほしいと言っているみたいだ。
鈴木「ごめんなさい…本当に……」
大八木「いいよ。もう二度と、こういうことしないでくれたらそれでいい。……悩みがあるなら聞くから」
気遣うような、優しい言葉。
言わなきゃいけない。どうしても…この人にだけは。
鈴木「私…嫉妬してたんです。井上さんに。先生と……仲良く話してるから」
醜いほどに、歪んだ感情を抑えきれなくて…自分でも情けないくらい、憧れと嫉みに押しつぶされた。
それを、あんな形であの子にぶつけてしまった。
鈴木「羨ましかったんです。ずっと……感情を抑えきれないくらいに、羨ましくて、憎かった」
大八木「鈴木さん…?」
間違っているってわかってても止められなかった。
そんな自分は捨てなきゃいけない。
この感情と一緒に……
鈴木「先生…好きです。私、ずっと先生が好きでした」
一世一代の告白は、泣かないように必死に笑顔を作りながらの、不格好なものとなった。
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暁(プロフ) - 星月夜さん» コメントありがとうございます(o^―^o)ニコそうなんですよね。夢主ちゃんの人生は波乱万丈で少し可哀想な気もしてきます…(笑)更新は本当にバラバラですが、今後もこの作品のことをよろしくお願いいたしますペコリ(o_ _)o)) (2017年12月3日 17時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 面白い展開ですね。本当に一難去ってまた一難って、感じで読んでてハラハラしちゃいます(о^∇^о) (2017年12月3日 16時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - かたつむりんさん» ありがとうございます!何度も嬉しいコメントをありがとうございます。長くなってしまってますが、最後までお付き合いいただけたらと思います(o^―^o)ニコ (2017年10月25日 23時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
かたつむりん(プロフ) - 第参弾おめでとうございます!鈴木さんと和解できてよかった……。これからも頑張ってください! (2017年10月25日 16時) (レス) id: f35d15b5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年10月24日 22時