言葉足らずな私は思いを伝えられないまま猫になりました ページ8
放課後、先生はやっぱり来てくれた。
でも、なぜか少し寂しそうだった。
『にーにー』
「心配してくれるの？ありがとう。優しいやつだな」
私を抱き寄せて、すがるように話し始めた。
「昨日な、ある子に酷いこと言っちゃったんだ。相手だってそんなつもりじゃなかったはずなのに。誤解して、変な解釈しちゃったかもしれない」
それって、私――？
「謝ろうと思ってたんだけどさ。その子、昨日、俺と別れた後すぐに行方不明で……俺のせいなのかな」
違う！そんなことない…！
違うのに、伝わらない……
言葉足らずじゃない。言葉も発せない。
「本当は知ってるんだ。あいつが、言葉を上手く伝えるのが苦手だってことも…本当は明るいやつだってことも。…もし、事故とかに巻き込まれてたら、どうしよう」
近くにいるのに。誰よりも傍にいるのに、伝わらない。
先生が私を理解してくれていたことすごく嬉しいって。
冷たい事しか言えなくてごめんなさいって。
伝えたい。心に溢れる素直な気持ちを――
あなたが好きだって言いたい！
「与えた機会を無駄にせなんだか」
心に語り掛けるような声。きっと、私にしか聞こえてない。
あの時と同じ光が辺りを包む。
目を覚ますと、人の姿に戻った私と、まだ眠っている猫宮先生。
『先生、起きて。風邪ひきますよ』
「ん……A！おまッどこにいたんだよ！？」
『ずっと先生の傍にいましたよ。
ねぇ、先生…昨日は、ううん。ずっと、ごめんね。
言葉足らずで、傷つけてしまって…
でもね、先生が私のことわかっててくれたこと嬉しかった。ありがとう、先生』
「やけに素直だな。ていうか、なんでそんなこと知って…」
『いいじゃないですか、なんでも。先生、これからも傍にいていいですか？』
「当たり前だろ」
先生と私の想いは一緒じゃない。
でも、今はこれでいい。
家に帰ったらこっぴどく怒られた。
でも、仲が悪くて怒ってばかりの母が泣いて出てきてくれた時は、すごく嬉しかった。
私はやっぱり、愛されてたんだってわかったから――
そして―――
9年後。
「A先生、おはよう」
『おはようございます、猫宮先生』
教師になった私は偶然なのか必然なのか、猫宮先生と同じ職場で働いている。
左の薬指には同じリングを付けて。
神様が素直になる機会をくたから、今がある。
あの夢のような奇跡を忘れたりはしない。
契約の証→←言葉足らずな私は思いを伝えられないまま猫になりました
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くるみ(プロフ) - MIZOREさん» はじめまして！コメント&応援ありがとうございます。これからも二人でいろんなお話を出していけたらと思ってますので、よろしくお願いします。 (2017年9月13日 18時) (
レス) id: 1b7b0b02d0 (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん、くるみさん、はじめまして!とても感動できる内容で、読みやすかったです。更新頑張ってください! (2017年9月13日 18時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 星月夜さん» 心あたたまるコメントをありがとうございます！今後も頑張って二人で更新していこうと思うので、この作品をよろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年9月11日 7時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 短編集なので当たり前なのですが、一つ一つが簡潔に書かれているので読みやすいです！最初のお話は本当に感動しました！ (2017年9月10日 23時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くるみ＆暁 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月10日 12時
