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奇跡から生まれた軌跡 ページ25

あれから2ヶ月の月日が流れた。


リハビリの合間を見つけては純さんと二人で私に所縁のある場所を訪れる日々。

それでも、あまり進展は見られなかった。心も体も――


でも、苦しくなんかないし、悲しくもない。

純さんは毎日優しく笑いかけてくれる。たくさん話しを聞いてくれる。

嬉しいな。楽しいな。毎日は幸せだな。


でも…純さんはどうだろう……?


朝早くに来て夜遅くまでずっと隣にいてくれる。

それは、純さんにとって負担じゃないんだろうか?

もしかしたら、疲れて…嫌になってるんじゃ……


「おはよう!今日も早起きだね」

『純さん…おはよう』

「?どうしたの、元気ないね」


純さんは本当に人をよく見ているというか、目敏いというか……

少しの異変にすぐ気づいてケアしてくれる。

そういうところに助けられているのだけれど…


『ねぇ、純さん。私…純さんの負担になってないかな?』

「え??」

『私ね、純さんが毎日会いに来てくれるのも、リハビリを一緒になってやってくれるのも、

一緒にどこかへ行くのも全部全部楽しいし、嬉しいよ。

でも…朝早くから夜遅くまで私に付き合って、車いす押して、話聞いて……

純さん、嫌じゃない?

もし、辛いなら…負担になってるなら、朝早くから来てくれなくてもいい。

夜だって時間通りに帰ってくれればいい。

毎日会いに来てくれなくてもいいんだよ。私……純さんには笑っててほしいから』


そう告げると、純さんは一瞬目を丸めてその後すぐに困ったように笑った。

まるで、そう言われるのは悲しいとでもいうかのように…


『純さん?』

「Aちゃん…負担なんかじゃないよ。

俺だって、Aちゃんと笑って過ごす毎日は楽しみだし、

朝早く来るのも夜遅くまでいるのも俺がそうしたいからそうするんだよ。

心配してくれてありがとう。でも、俺は無理してないよ」


優しい笑顔を浮かべた純さんは手を伸ばし、笑顔と同じくらい優しい手つきで私の頭を撫でた。


(また、子ども扱い……)


赤くなった顔を見られたくなくて俯く。

鼓動は高鳴り、純さんの顔を見ることなんてできない。


純さんはこの想いを知らないから、こういうことができるんだ。

子供としか見てないから…。


でも、私は…

混乱していた私に毎日笑いかけてくれる純さんが、優しい言葉をかけてくれる純さんが、私は――


過去がなくなった私。新しく描き始めた軌跡はほんのり甘酸っぱいものだ。

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くるみ(プロフ) - MIZOREさん» はじめまして!コメント&応援ありがとうございます。これからも二人でいろんなお話を出していけたらと思ってますので、よろしくお願いします。 (2017年9月13日 18時) (レス) id: 1b7b0b02d0 (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん、くるみさん、はじめまして!とても感動できる内容で、読みやすかったです。更新頑張ってください! (2017年9月13日 18時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 星月夜さん» 心あたたまるコメントをありがとうございます!今後も頑張って二人で更新していこうと思うので、この作品をよろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年9月11日 7時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 短編集なので当たり前なのですが、一つ一つが簡潔に書かれているので読みやすいです!最初のお話は本当に感動しました! (2017年9月10日 23時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるみ&暁 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年9月10日 12時

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