儚く散る恋なんて、絶対にしない ページ15
『人間？あれが……』
同胞を焼き殺した、人魚姫を泡に変えた憎むべき相手。
でも、敵意を持つ気になれない。
だって、本当に美しいんだもの。
見た目だけじゃない。
人間を包む、暖かな空気も何もかも。周りにあるものすべてが綺麗。
(それに、全然怖くない。ボロボロで意識もないし、あの細い腕じゃ何にもできないわ。近づいてきたら海に逃げればいいんだから)
初めて見た人間は全然怯えるような対象ではなかった。それどころか、興味すら湧いてくる。
『あの人間、意識がないみたい。ピクリとも動きはしないわ。怖がる必要なんて…』
「何を言ってるの！？人間は危険な生き物よ！A、帰るわよ！！」
『大丈夫。もうちょっと近づきましょうよ！』
そう言った私の頬をアンジェ様が引っ叩いた。
初めて味わう痛みだ。
「いい加減にしてちょうだい。どれほど人間が危険な存在か、ずっと教えてきたでしょう！あなたはいつも我儘ばかり！どれだけ迷惑をかければ気が済むの！！」
今まで絶対口に出さなかったアンジェ様の本音。
思わず怯んだが、負けじと言い返した。
『アンジェ様って本当に憶病！海の上に行くことも、人間に近づくことも…私のやることに全部反対！海の上にはキラキラした世界が広がってた！！アンジェ様の言うことを聞いていたら、見ることなんてできなかった世界』
そうだ。こんなにも美しい場所を、私は見ないで終わるかもしれなかったのだ。
この人のせいで。
『迷惑だと思うなら…私がそんなに嫌いなら、もうどこかへ行って！二度とかまわないで！！』
アンジェ様はひどく傷ついた顔をして、何も言わずに帰っていった。
別に、私は悪くない。
ずっと一人でいた。横たわる人間を見つめて。
助けようとは思わない。同胞を殺した奴の仲間だから。
でも、殺す理由もない。
「うッ…」
数十分が経過して、ようやく人間は小さくうめいた。
やがて美しい瞳が徐々に開いていく。
いちよう、岩陰に隠れたが人間を見ることはやめない。
すごく、彼に興味があるから。
「出て来いよ…」
(気づかれてた…！)
ゆっくり、姿を見せると人間は特に驚く様子もなく話をつづけた。
「人魚か…初めて見る。悪いが、何か食い物をくれ。このままじゃ死んじまう」
『自分でとりなさいよ。だいたい、人間の食べ物なんて…』
「何でもいい。俺は動けないんだ」
私以上に我儘なやつだと思いながら、仕方なく辺りを探しに出かけた。
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くるみ(プロフ) - MIZOREさん» はじめまして！コメント&応援ありがとうございます。これからも二人でいろんなお話を出していけたらと思ってますので、よろしくお願いします。 (2017年9月13日 18時) (
レス) id: 1b7b0b02d0 (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん、くるみさん、はじめまして!とても感動できる内容で、読みやすかったです。更新頑張ってください! (2017年9月13日 18時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 星月夜さん» 心あたたまるコメントをありがとうございます！今後も頑張って二人で更新していこうと思うので、この作品をよろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年9月11日 7時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
星月夜 - 短編集なので当たり前なのですが、一つ一つが簡潔に書かれているので読みやすいです！最初のお話は本当に感動しました！ (2017年9月10日 23時) (レス) id: b0ad28a90c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くるみ＆暁 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月10日 12時
