次元を超えて(46) ページ47
「A様…ダメですッ!」
『わらわは…霧ノが大切じゃ!そちを悪く言う者は誰であろうと容赦せぬ!!』
「へぇ、良い覚悟じゃないか」
千夜がそう言うと、今まで静かだった周りの手下たちが動き出した。
武器を構えてる。殺す気だ。
『霧ノは…心優しい子なんだ!わらわの我儘にいつも付き合ってくれた!悩みを聞いてくれた!わらわは…霧ノを信じる!!霧ノは…妖なんかじゃない!!』
「……ッ」
Aに向かって飛んでくる無数の矢。
怖くない。
負けたりしない。
霧ノを信じてるから……
目を瞑り、死を覚悟した。
が、矢は当たることはなかった。
目をあけると、ジャーファルと霧ノが矢を切り、守ってくれていたのだ。
「A様…私はA様が思うほど、優しくなんかない。……人を殺したことだってある。私のせいで誰かが犠牲になろうと、何とも思えない。私は…優しくなんかないの!誰かを殺したくなるほど憎むことだってあるの!!」
『霧ノ……』
「采華様に引き取られるまで、たくさんの人を殺し続けた。そうでしか、生きられなかった…。でも、私は貴方たちに出会った。温かさを教えてもらった。私は……」
グッと千夜を見据える。
殺気に近いものすら感じられる。
「A様を殺そうとするものは私が殺す!この人は…私の光だから!!」
すると、今まで黙りっぱなしだったジャーファルが口を開いた。
「ウォル…それが貴方の選んだ道なんですね」
「ジャーファル…」
「期待は…してませんでした。貴方が戻ってきてくれること。でも…嬉しく思います。貴方は信じる主を見つけられたんだから。私と…同じように」
顔を歪ませ、泣きそうな顔で笑うジャーファル。
「A…後でちゃんと話しますから。今は…守られていてください」
『え……』
「あれ〜?思ってたのと随分違う展開になった。これじゃあ…集められない。君たち今、すっごく澄んだ青色してる。空の色だ」
千夜は目を丸め、つまらなさそうにそう言った。
「霧ノさん、行きましょう。…終わらせるんだ」
「ジャーファル……はいッ!」
息が合ってるなんてものじゃない。
息を飲むほど美しく、二人は一つの様に動いている。
鮮やかで美しい……
二人の絆…そんなものが垣間見える戦闘だ。
あっという間に千夜は一人になってしまった。
でも、慌てることすらしない。
「最後に…教えていただけますか?お前は誰だ」
「ふふっ、僕はね…誰でもないんだ」
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岸田(プロフ) - 青李、李青秀なので呼び方は李青秀か青秀なのではないでしょうか…? (2019年2月2日 10時) (レス) id: a6cde36435 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます、嬉しいです♪更新スピードバラバラですが、最後までお付き合いください(o*。_。)oペコッ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 昨日見つけて一気見しちゃいました!続きを楽しみに待っています! (2017年11月14日 21時) (レス) id: 61560a1736 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - MIZOREさん» ありがとうございます(*- -)(*_ _) (2017年10月14日 15時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん» 私も一安心しました... 再ログインできて良かったですね! これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月13日 22時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月30日 21時