次元を超えて(44) ページ45
『か、こ……?』
なぜ、千夜が知っているんだろう…?
霧ノはともかく、ジャーファルはもともとここの人間じゃない。
自分から千夜に話したりしないだろうし…
ジャーファルを見ると、訝しげな顔をしている。
霧ノは…どこか怯えているように見える。
「ふふっ、知らないよね。なら、教えてあげるよ。……彼らはね」
「やめてッ!!」
突然、霧ノはそう叫んだ。
息を荒げ、必死に…辛そうに千夜を睨みつけてる。
『きり…ッ』
「言わないって!言わないって約束したでしょう!?だから私はあなたの言うことを聞いたわ!!」
「でも、君は途中で裏切っただろう?放棄したのは君だよ、霧ノ。いや…『ウォル』と言うべきかな?」
そう千夜が言った瞬間、小さな暗器が千夜の頬をかすめる。
だが、千夜は驚きもせずだだ目を細めて笑顔を浮かべた。
この状況を楽しんでいるんだ――
「さすがだね。何日も使用人たちを殺しただけある」
「黙れーッ!!」
霧ノは千夜に今にも飛掛りそうな勢いで怒鳴った。
聞いたことない霧ノの声。
口調も、顔も…何もかも別人だ。
(使用人を、殺した……?霧ノが??)
いったい今日はなんなのだ。
千夜から文が来て、心を躍らせこの場所に来たのに。
千夜も霧ノも全く別人のようになってしまうし。
変な奴らに囲まれるし。
Aの頭は現実につい行こうとするのでやっと。
もう、なにがなんだか……
「ふふふ、あはははッ!『ウォル』…いいね、君のその憎悪に満ちた瞳。とっても綺麗だよ。色も静かな青から怒りと恐れに満ちた濃紺に変わってる」
「その名を呼ぶなッ!」
たくさんの小刀みたいな暗器をむやみやたらと投げつける。
千夜は優雅にそれを交わし、愉快そうに声を出して笑っている。
「私は『ウォル』なんかじゃないッ!あの子は死んだの!!」
『霧ノ……』
どうして泣いているの…?
何がそんなに悲しいというの…?
ふと、ジャーファルの方を見ると、今度はジャーファルが俯いている。
霧ノもジャーファルも、とても悲しそう。
『ウォル』…その名をAは聞いたことがある。
確か、ジャーファルが霧ノからもらった小刀を見た時に…
―あの子に…ウォルに、会わせてください!!―
(そういう、ことか……)
霧ノはジャーファルが探していた女の子。
ジャーファルが恋焦がれていた、かつての…仲間……
なぜかはわからない。Aから、一粒の涙が零れ落ちた。
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岸田(プロフ) - 青李、李青秀なので呼び方は李青秀か青秀なのではないでしょうか…? (2019年2月2日 10時) (レス) id: a6cde36435 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます、嬉しいです♪更新スピードバラバラですが、最後までお付き合いください(o*。_。)oペコッ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 昨日見つけて一気見しちゃいました!続きを楽しみに待っています! (2017年11月14日 21時) (レス) id: 61560a1736 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - MIZOREさん» ありがとうございます(*- -)(*_ _) (2017年10月14日 15時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん» 私も一安心しました... 再ログインできて良かったですね! これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月13日 22時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月30日 21時