次元を超えて(40) ページ41
「へぇ、珍しいですね。山奥のじゃじゃ馬姫に文ですか…」
ムッとして睨み返すが、ジャーファルは涼しい顔をしている。
(それだけ涼しげな顔をしているのじゃ。暑さなどどうってことないだろうに……)
とはいえ、ジャーファルの言うことはもっともでA宛に文が届くなんて珍しい。
送り主を見て見るとそこには見知った名が。
『せ、千夜様ッ……どうして…』
胸がときめく。
舞い上がるAとは対照的にジャーファルは訝しげな顔をする。
(何を企んでいるんだ……)
わずかな距離で広がる温度差。
侍女は引きつった笑顔を浮かべ、失礼しますと足早に去っていった。
「なんて書いてあるんです？」
『今夜…二人で会いたいと……！話がしたいそうじゃ…！！』
(こ、これは…逢引というやつかッ)
好きな人からの文にAはすっかり有頂天に。
そんなAにくぎを刺すようにジャーファルは言う。
「やめときなさい、菜華さんに怒られますよ」
『少しぐらいいいではないか』
「二人ってことは、護衛はついてくるなってことでしょう？どう考えても怪しい。仮にも姫なんだからもう少し危機感を…」
『仮も何もかも余計じゃ。そちにもわかるだろう？愛した人に会える喜びが…』
「わかりかねます」
『…おぬしにだって、想うておった友人？がいるのだろう？』
「だから、違いますって……」
Aが変なことを言うので、霧ノのことを思い出してしまう。
(確かに生きていたこともまた会えたことも嬉しいですけど……)
Aとはまた別というか、千夜は信用できないというか…などとうだうだ考え結局言葉にできない。
どのみち、もう何を言ってもAは聞き入れないだろう。
恋とはなんとも厄介な病なんだろう…。
(まぁ、今までお世話になってるんだし、腕も鈍るといけないから……)
ジャーファルは踵を返して部屋へと帰ってゆく。
そのジャーファルを見て何を勘づいたのかAは言った。
『おいッ！余計なことはするでないぞ！』
「はいはい」
適当にAの言葉を流し、しまっていた武器を腕に装着する。
久々に頑張りどころだと気を引き締めて――
そして、とうとう夜が来た。
Aは使用人たちに気づかれないようにコソコソと屋敷を抜け出す。
ジャーファルがあとをついてきているとも知らないで。
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岸田(プロフ) - 青李、李青秀なので呼び方は李青秀か青秀なのではないでしょうか…？ (2019年2月2日 10時) (
レス) id: a6cde36435 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます、嬉しいです♪更新スピードバラバラですが、最後までお付き合いください(o*。_。)oペコッ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 昨日見つけて一気見しちゃいました！続きを楽しみに待っています！ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 61560a1736 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - MIZOREさん» ありがとうございます(*- -)(*_ _) (2017年10月14日 15時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん» 私も一安心しました... 再ログインできて良かったですね！ これからも更新楽しみにしてます！ (2017年10月13日 22時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月30日 21時
