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次元を超えて(28) ページ29

「ああ、おはようございます。…ここは来てはいけませんでしたか?」

『え、いや…そういう……わけでは、ない』


なぜ妙に口もごる。

目も泳ぎまくっているし、どんどん顔が赤くなってる。


(あ、そうか……)


「昨日の事なら、誰にも言いませんってば。わざわざ何度も口止めしなくても…」

『あ、ああ当たり前じゃッ!』

「……あの、ゆでだこみたいになってますよ?」

『〜ッ!!?ゆ、ゆでッ……よう、わからんが、顔が赤いという事か?』

「ええ、真っ赤です」


恥ずかしそうに両頬に手を当て、俯くA。


『そうか。じゃが、仕方なかろう……初めて、だったのじゃ』

「は?」

『あのように……男に、力強く、抱きしめられたのは……』

「え、…あ、す、すみません!」


確かに子供といえど、女性をあんな風に抱きしめたのは問題だ。


(ていうか、そんな…照れたりするタイプなんですか。気にも留めてないものかと……)


あの時は何ともなかったのに…一夜明けるとこうも変わるもなのか。

恥ずかしがるAを見ているとなんだかこちらも恥ずかしくなってくる。


「なんじゃ。二人して顔を赤くして……何かあったのか?」

『は、はは母上!』

「動揺し過ぎじゃ。『は』が多い。……邪魔だったか?」

「いえ、そういうんじゃないんで…」

「そうか……ところでA」

『は、はい。なんでしょう』

「霧ノは一緒ではないのか?そちのところにいると思うたのだが…」

『い、いえ…今は別のところに。なんだか用?があるようで…』

「……。ふむ、用…とな。わかった。邪魔をしたな。悪かった」

『いえ…あの、母上……』


引き止めるAを横目で見つつ采華は行ってしまった。


『へ、変な誤解をされてしもうた……』

「あなた、お母さんの前ではちゃんとしてるんですね」


畏まって言葉遣いも改めて……なんだか別人だ。


『…そもそも、なぜわらわがそちなんぞに恥ずかしがらねばならぬのじゃ』

「いちいち嫌味な人ですねぇ…」

『当たり前じゃ。…昨日のことは互いに忘れようぞ』

「ええ、そうですね。あなたとは何もなかった。……あまりこちらの人と関りを持つのは良くないでしょうしね」


情になんて流されて、ここにとどまるようなことだけは避けたい。

こちらが名残惜しくなるようなこともあってはならない。

心残りなんて残さず、キッパリ忘れられるようにしておかないと。


(辛いだけ、ですものね……)

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設定タグ:ジャーファル , マギ , トリップ   
作品ジャンル:恋愛
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岸田(プロフ) - 青李、李青秀なので呼び方は李青秀か青秀なのではないでしょうか…? (2019年2月2日 10時) (レス) id: a6cde36435 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます、嬉しいです♪更新スピードバラバラですが、最後までお付き合いください(o*。_。)oペコッ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 昨日見つけて一気見しちゃいました!続きを楽しみに待っています! (2017年11月14日 21時) (レス) id: 61560a1736 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - MIZOREさん» ありがとうございます(*- -)(*_ _) (2017年10月14日 15時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん» 私も一安心しました... 再ログインできて良かったですね! これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月13日 22時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年9月30日 21時

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