次元を超えて(18) ページ19
というわけで、千夜が加わり、四人で山を歩く。
「異国の文化には興味があってね……色々聞かせてくれるかな?」
柔らかな物腰で千夜はジャーファルに話しかける。
「えっと…あまり、参考にならないかと」
異国どころか、別世界から来たジャーファルが文化を語っても、誤った知識を覚えるだけ……
力になりたいが、こればかりは変に答えない方がいいだろう。
「それは残念。機会があれば…酒でも酌み交わせるといいね」
にっこりと微笑む千夜。魅了的だが、何を考えているのかさっぱりわからない。
(それにしても…整った顔の人だな……)
ジャーファルの周りには美形が多いが、千夜は今まで出会ったどの人よりも綺麗な顔立ちをしている。
猫のような瞳や纏う雰囲気は妖艶さを引き立たせていて、魅惑的なのにどこか危ない感じがする。
(でも…裏がある……)
雰囲気もあるのかもしれないが、アル・サーメンや今まで関わってきた深い闇を持つものと同じ匂いがする。
それも、確実に濃い闇…吸い込まれそうだ。
「?難しい顔をしているよ」
「…すみません。少し、考え事を」
(警戒した方がよさそうですね……信用しないに越したことはない)
千夜は一瞬目を細めたが、やはり何を考えているのかわからない。
「ところで…霧ノ」
「はい、千夜様。どうなさいました?」
「姫はいつから、ああなんだい?なんだか元気がなさげだし…こちらの会話も全く耳に届いてないようだけど」
「えっと…一時的なものだと思われるので、大事ないかと…」
千夜はAを見て、決心したように言った。
「うん、やはりここからは別行動にしよう。霧ノ、ジャーファル殿を案内してあげて…山は深いから迷ってしまっては困るもの。私は姫と行こう」
「そう…ですか?なら、戌の刻にでも屋敷で」
「そうだねぇ。じゃあ、二人は行っていいよ」
ジャーファルと霧ノは顔を見合わせ、歩き出した。
Aはというと、泉を見つめたままボーっとしている。
「姫」
肩をポンと叩くと、Aはようやく千夜の声に気がついた。
『せ、千夜様…あ、気がつかず、申し訳ありません。何用でしょう?』
「悩みがあるのでしょう?私でよければお聞きいたしましょう」
『いえ…悩みなど……少し気分がすぐれぬだけで。ですが、大事ない程度なので…』
「……私には、嘘をつかないで」
千夜の甘い声にAの心が高鳴る。
だが、この人だけには絶対に言えないのだ。
35人がお気に入り
「トリップ」関連の作品
転生って素晴らしいね【鬼滅の刃】弐
兵長見守り日記〜私、モブに徹します。〜【リヴァイ夢】
【名探偵コナン】全キャラクターが持つ能力を全て扱える様になったから無双する 43
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
岸田(プロフ) - 青李、李青秀なので呼び方は李青秀か青秀なのではないでしょうか…? (2019年2月2日 10時) (レス) id: a6cde36435 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます、嬉しいです♪更新スピードバラバラですが、最後までお付き合いください(o*。_。)oペコッ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 昨日見つけて一気見しちゃいました!続きを楽しみに待っています! (2017年11月14日 21時) (レス) id: 61560a1736 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - MIZOREさん» ありがとうございます(*- -)(*_ _) (2017年10月14日 15時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん» 私も一安心しました... 再ログインできて良かったですね! これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月13日 22時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:暁 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月30日 21時