次元を超えて(15) ページ16
あれから一睡もできぬまま、昼になったしまった。
『……』
「姫様……今朝からずっとその調子ですね。どうなされたのです？」
少し眠たそうに聞いてくる霧ノ。
まるであの事件など知らないみたいに。
(…わらわの侍女なのじゃ。知らぬはずあるまい。わらわに…気を使っておるのか？)
そう思い、もう一度霧ノを見る。
きょとんとした顔をする霧ノ。
(もしや…本当に知らぬのではないか？)
「姫様…顔が険しゅうございます」
『そち…千琳の事、知っておったか？』
すると、霧のは下を向き、肩を震わせた。
『霧ノッ…！？』
「すみません……まさか、あんなことになるなんて…一体誰が、あのようなむごいことを」
涙を流し千琳を惜しむ霧ノ。
そんな姿を見て、いったい誰が霧ノを疑うというのか。
霧ノの特技は…迫真の演技。
誰も霧ノを疑えないような完璧な演技を演じる。
そうすることで自分を守ってきた。
(お許しください、姫様……でも、その悲しみは一時のもの。望む者との婚姻がきっとあなた様を幸せにします)
『霧ノ…それがの、皆はわらわが千琳を呪い殺したと言うておるそうじゃ』
「！！？ッそんなこと…」
『わかっておる。…じゃがの、そうかもしれんと思うてしまうのじゃ』
「A様……」
Aは無理やり笑顔を作った。
しんみりしていてもしょうがない。
(そうじゃ…物はとらえよう……千夜様と婚姻できるのじゃ。喜ばねば……)
そう自分を励ましてみるのだけど、後ろめたさもあってか…全く喜ぶことも出来ず、千琳のことが頭の中をぐるぐる回る。
(千琳……)
「A様…」
『え、あ…なんじゃ？』
「よい日よりです。散歩にでも行きませんか？」
『そう…じゃの。そうするか……』
霧ノは優し気な笑みを見せ、支度を始める。
「ああ、姫……ジャーファル様もご一緒でよろしいでしょうか？いろいろ見て回りたいとおっしゃっていて」
『ジャーファル？？……まさか、あの妖の事かッ！？』
「ふふっ。妖などではありません。優しい方ですよ〜」
『優しい…？』
ジャーファルとの記憶がよみがえり、Aは顔を歪ませた。
どこが優しいというのだ。あの男の。
『ふんっ…好きにするがよい』
それを聞くと、霧ノはまた、優しく微笑んだ。
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岸田(プロフ) - 青李、李青秀なので呼び方は李青秀か青秀なのではないでしょうか…？ (2019年2月2日 10時) (
レス) id: a6cde36435 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます、嬉しいです♪更新スピードバラバラですが、最後までお付き合いください(o*。_。)oペコッ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 昨日見つけて一気見しちゃいました！続きを楽しみに待っています！ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 61560a1736 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - MIZOREさん» ありがとうございます(*- -)(*_ _) (2017年10月14日 15時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん» 私も一安心しました... 再ログインできて良かったですね！ これからも更新楽しみにしてます！ (2017年10月13日 22時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月30日 21時
