次元を超えて(12) ページ13
「あれ、どこで手に入れたんですか!?」
「あれは……商人が売っていて」
全く同じものを売っているものだろうか。
職人が手作業で作るんだ。同じものでも必ず違うはずなのに……
(ここは…おそらく先程の少女が住んでいる場所……すなわち別世界。アラジンは他界へ行くのは無理だと言っていたし……)
だとすると、自分が今ここにいるのは奇跡のようなもので、容易に来れるような場所ではない。
Aの力だと考えるのが妥当なら、16年も前に消えた友人がここに来れるはずがない。
Aは14だと言っていたのだから…
(別の世界なのに…全く同じものを作るなんて、不思議なものですね……)
「すみません。取り乱してしまいました。そうですよね…その友人は死んだはずだし」
「そう…なのですか?」
「ええ。ある任務中に訪れた場所は雪国で…突然の雪崩に巻き込まれてしまったんです。遺体が見つからないので、もしやと思ったんですが……」
「それはお気の毒ですね。でも…きっとどこかで元気に暮らしていますよ」
「だと、いいのですが……」
霧ノは確信した。
この男は間違いなく、あの時の友人だ、と。
だが、自分が仲間だと名乗らない。
あそこにいた自分は死んだのだ。
今は霧ノという、新たな名で新たな人生を送っている。
もう、あの頃には戻らない…捨てた自分を出したりしない。
「そういえば、名乗ってませんでしたね。私はジャーファルと言います」
「……良い名ですね」
「聞かない名ですよね。私も何が何だかさっぱりわかっていないのですが……どうやら、私は別の世界から連れてこられたようで……」
「そのことに関しては謝罪しよう。我が娘がどうやら貴様を巻き込んでしもうたようじゃ」
「采華様ッ!!」
かしこまる霧ノを見て、自らも頭を下げたジャーファル。
そんな二人を見て采華は「よい。面をあげよ」と言う。
「向こうでは娘が世話になった。じゃじゃ馬娘ゆえ、さぞ迷惑をかけただろう。そちが帰る方法は必ず探し出す故、今はゆるりと休まれるがよいぞ」
「ありがとうございます」
「時の流れも違うと聞く。戻った時、あちらではどれほどの時間が経っているかわからぬが、許してほしい。随分霧ノと打ち解けておったようじゃな」
「采華様…それは……」
「よいではないか。しかし、人嫌いのおぬしが心を許そうとは…そうじゃ、客人がここにおる間霧ノに世話を任せることにしよう」
采華はそう言うと部屋を出た。
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岸田(プロフ) - 青李、李青秀なので呼び方は李青秀か青秀なのではないでしょうか…? (2019年2月2日 10時) (レス) id: a6cde36435 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます、嬉しいです♪更新スピードバラバラですが、最後までお付き合いください(o*。_。)oペコッ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 昨日見つけて一気見しちゃいました!続きを楽しみに待っています! (2017年11月14日 21時) (レス) id: 61560a1736 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - MIZOREさん» ありがとうございます(*- -)(*_ _) (2017年10月14日 15時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん» 私も一安心しました... 再ログインできて良かったですね! これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月13日 22時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月30日 21時