次元を超えて(11) ページ12
屋敷に着いた一行は、ジャーファルをもてなす準備を始めた。
Aだけが不満そうだ。
『霧ノ、なぜあやつを庇った?さては妖の妖術にでもかかったか』
「姫様…妖なんているわけないでしょう」
『いたのじゃ!!髪が蛇だったり、豚のような見た目だったり、顔が獣の者もおった!!珍妙な仮面をつけていたり、ここらでは見ぬ髪色をしている者も……食われるかと思うた』
思い出し、足がすくむ。
その場で泣き出してしまったAを霧ノは優しく慰める。
「頑張りましたね。よくぞご無事で……怖かったですよね」
Aは甘ったれで、じゃじゃ馬、気が強いが弱いところはなかなか人に見せない。
泣いている姿も、霧ノ以外には見せたりしない。
霧ノはそれが信頼されている証拠だと思うと嬉しかった。
(にしても…A様が連れてきたあの男、どこか似てる気が……)
『霧ノ…?』
「え、は、はい」
『どうした…難しい顔をしておる』
「いえ…A様は不思議な場所へ行っていたんだな〜って」
『あそこにおる者が言うておった。わらわが行っていたのは別の世界だとか…なんとか……まったく、おかしな話じゃ』
「……そう、ですね」
Aは霧ノがそこの住人だったと知ったら、嫌うだろうか?
(きっと…A様が行った世界は私がいたところ……『数千年呪い』って、他の世界に干渉する力?)
なぜかはわからないけど…たぶんAが行った世界は自分のいた世界だとわかる。
あの男を…見たからかもしれない。
「姫様…今日はゆるりと休まれてください。私はあのお方のもてなしをしなければならないので」
『ふんっ…あやつなどもてなす必要などないわ』
(姫様は時折、ひねくれておられる)
Aの部屋を出てジャーファルのもとへと向かう。
(姫様の耳に千琳様の死の朗報が届くのも時間の問題か……)
そんなことを考えながら。
「失礼いたします。茶菓子を持ってまいりました」
「あ、ありがとうございます……えっと…」
「霧ノと申します」
「あなたが霧ノさんでしたか!あの、あの少女がもっていた小刀…あなたの物なんですよね?」
「A様が…?ああ、護身用にと差し上げた物ですが…それがどうかしましたか?」
かつての同志がくれた、大切な小刀。
本当はお守りみたいなもの。
アレなら一番大切な人を守ってくれるような気がして……
「それ、私の友人がもっていたものと同じなんです!」
「え?」
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岸田(プロフ) - 青李、李青秀なので呼び方は李青秀か青秀なのではないでしょうか…? (2019年2月2日 10時) (レス) id: a6cde36435 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます、嬉しいです♪更新スピードバラバラですが、最後までお付き合いください(o*。_。)oペコッ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 昨日見つけて一気見しちゃいました!続きを楽しみに待っています! (2017年11月14日 21時) (レス) id: 61560a1736 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - MIZOREさん» ありがとうございます(*- -)(*_ _) (2017年10月14日 15時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん» 私も一安心しました... 再ログインできて良かったですね! これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月13日 22時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月30日 21時