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一冊のアルバム ページ1

「ああ、こんなところにあったのか……」

 懐かしい。そっと呟き、段ボールの中の青い表紙のアルバムを一冊手に取る。他のアルバムより古びた印象を受けるそれの表紙を一度撫でれば、胸の辺りがぞわりとした嫌な感覚に占められていく。
 その原因は分かりきっている。僕の腕の中で静かに佇んでいる思い出の詰まりすぎたこのアルバムだ。他のアルバムと違い、一番辛い時期の写真も収められているこのアルバムは色々な意味で特別なもの。耐えきれなくなった僕は手にしていたそれをベッドの方へと放り投げた。

「くそ……っ!!」

 小さな暴言と共に投げられたアルバムは小さな音を立てて落ちた。その衝撃でページがいくつか捲れていく。
 
「……バカみたいだ。こんな無機物にさえも当たってしまうなんて、僕は疲れているんだろうね。きっと」

 乾いた笑いを溢しながら呟く。
 ふと思い出して部屋中探し始めた幼少期のアルバム。何時間もかけて見つけたのだ、疲れがたまっても仕方ない。
 そう考え始めたその時、ベッドの上のアルバムの開いていたページに目がとまった。

「これ、は……」

 そこに写っていたのは幼い頃の僕と兄さんの姿だった。

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作者名:暁月刑務所 | 作成日時:2018年8月11日 9時

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