まるでロミオとジュリエット［ディーノ］ ページ12
私が暗殺者で彼がボス。
その差は、一途な愛情さえ壊してしまった。
＊まるでロミオとジュリエット
腕に絡み付いてきた鞭は、私の腕が自由になる事を許さない。
激しい痛みと共に沸き上がる切なさに、そっと銃を下ろすしかなかった。
涙の溜まった霞んだ視界で彼を見れば、信じられないと叫び出しそうな絶望的な目をして、
ただただ私を見つめていた。
その目から逃れたくて、窓の外に視線をそらす。
ああ、月が綺麗だ。恨めしいくらいに。
「…どうしてだよ……」
消え入りそうなディーノの呟きと同時に、頬に冷たい涙が伝わり始める。
「…俺は、お前を愛してたのに…!!」
見られたくなかった。
暗殺者という立場でありながら、最後まで恋に翻弄されて、殺す相手の前で涙を流すような、女としての一面を。
ディーノの本心からだろう声を聞きながら、唇を噛み締めて振り向くのを耐えた。
しかし、やはり彼の方が一枚上手だ。
いつの間にか近寄って来たディーノは、いとも容易く私の唇を奪った。
「…なぁA。好きなんだ、愛してる…!!」
そして、深く激しくキスをして、甘い声で私を呼ぶ。
まるで、事実から目を背けるかのように。
全く躊躇わずに、ボスとして暗殺者を殺す事より恋人として女を愛する事を優先する彼。
「…いっ…やぁ…っ!!」
「…っあ、Aっ!!」
そんな男がたまらなく愛しくて、それでも私はそのキスを拒絶した。
彼の唇の熱が残る自分のそれを触り、なおも加速する鼓動を呪いたくなる。
頭の大部分を占めている、ディーノへのはち切れそうな想いに蓋をして、早口でまくしたてた。
「私は暗殺者、あなたはボス。
殺される前に私を殺しなさい跳ね馬!!」
「無理だっ!!」
ほら、彼は銃を構える事さえしない。
ああ、あなたはやっぱり甘いわよディーノ…!!
わかりきっていた自分の最期に、自嘲的な笑みさえ浮かべ、私はこめかみに銃口を当てた。
それを見たディーノは当然焦り出して吐き出すように叫ぶ。
「バカ、やめるんだA!!」
ごめんなさいディーノ。
あなたを自分勝手に愛して、自分勝手に死んでいく私を許してね。
そんな、声にならない懺悔の言葉を繰り返しながら、私はそっと引き金に指を当てた。
ディーノがもう一度、私の名前を叫んだ時、
私の唇は微かに動く。
「……さよなら、愛してる。」
＊たとえ結ばれないとしても、これだけは言わせて
貴方に会えて、よかった
＿＿＿＿＿＿＿
桜音様リクでした。
花の裏に隠されて［フラン］→←これが僕らの日常！［沢田綱吉］
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ものもの - ずっと前に偶然読んでそれが夢霧さんだったとは…。この短編集探していました。「青春短し恋せよ乙女」が当たり前かと思って使っていたのですが、「命短し恋せよ乙女」のもじりだったんですね！長編のほうも読んでいます。尊敬しています！！！ (2014年3月31日 8時) (
レス) id: 2ce098c691 (このIDを非表示/違反報告)
夢霧 - 命さん» 読んでいただき嬉しい限りです。…実は、リクエストをいただいてもご希望通りのような作品を完成させる自信がなく、リクエストは基本お断りしております。詳しい事は"リクエストお断りのお知らせ"よりご覧下さい。本当に申し訳ありません。 (2013年12月12日 23時) (レス) id: 74af34c10f (このIDを非表示/違反報告)
命 - 風とコロネロとマーモンとフランと雲雀恭弥で別々でヤンデレ。５つもリクエストしてしまうことになりますがよろしくお願いします。 (2013年12月9日 3時) (レス) id: f5d1fbf7c1 (このIDを非表示/違反報告)
夢霧(プロフ) - 燐花さん» お褒めに預かり光栄です(*^^*)新しく暗めの短編を更新しました。よかったらご覧ください！ (2013年11月30日 19時) (レス) id: 74af34c10f (このIDを非表示/違反報告)
燐花(プロフ) - 夢霧さん» やっぱりそうでしたか！私の周りの方、あまりご存知なくて・・・なんか感激です！ 夢霧さんの作品とっても面白いです！！ 応援してます！！ (2013年11月26日 6時) (レス) id: f45056ee11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢霧 | 作成日時：2013年8月11日 16時
