恋人はママちゃん【白】 (ページ48)

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ー【RAUL side】ページ48

Aさんが寝たのを確認してからお粥とかを取り敢えずキッチンに片付けてAさんの部屋に戻る。

目覚めた時に勝手に入って怒られるかなと思ったけど、それよりも俺に移る事を心配してくれた事を優先してくれたのが嬉しかった。

椅子に座りAさんの様子を伺う。

薬がまだ効いてないのか頬が赤いし汗も結構かいてるみたいだけど、流石に体を拭くのは出来ないから取り敢えず顔と首元だけお湯で濡らしたタオルで拭く。

すると気持ち良かったのかAさんの表情が少しだけ和らいだ気がした。

それにしても…熱があるせいで赤く染まった頬に潤んだ目で見上げられた時は不謹慎だけどヤバかった。

うん、好きな人の看病って違う意味で危険って事を学びました。

「ん…」

そんな事を考えてたらAさんが身動ぎしてから薄っすらと目を開けた。

「Aさん？何か欲しいの？」

焦点の合わない目で何かを探す仕草をしたから声を掛けたら。

「マイト…」

「…っ」

そう呟きながら布団から手を伸ばして空を彷徨わせる。

分かってる、Aさんが欲しいのはぬいぐるみの『マイト』だ。

でも…。

俺は伸ばされたAさんの手をそっと握るとそのまま俺の頬に当てる。

ぬいぐるみにすら嫉妬するなんて思わなかったけど、Aさんに頼られるのは俺がいい。

「ねぇ、真都じゃダメ？」

するとまだ意識が覚醒していないAさんはフワリと笑いながらもう片方の手を伸ばしてきて俺の頭を引き寄せて胸元で抱き締めた。

「真都…」

きっと呼んでるのはぬいぐるみなんだろうな。

それでも拒否されなかった事を理由に少しだけ大胆な行動に出る事にした。

…体勢もキツイしね。

俺は素早くAさんの腕から抜け出すとAさんを抱き締める形で布団に横になった。

起きるかなと不安になったけど薬が効き出したのかそのまま寝息を立てていた。

上側になっている手で頭を撫でれば擦り寄ってくれて。

Aさんが安心して眠ってくれてる事に幸福感を感じていた。

暫くそうしていたけど、体温の心地良さにいつの間にか俺も眠っていた。