恋人はママちゃん【白】 (ページ26)

今日:1 hit、昨日:25 hit、合計:80,321 hit

ーページ26

あれ？私また何か失言した…？

周りを見渡せば皆さんの視線は私ではなくふっかさんに向けられていた。

「えっと…何かごめん」

ふっかさんはちらりとラウールの方を見てから頭を下げた。

「？」

意味が分からなくて首を傾げていると雰囲気を変えようとしたのかさっくんがぬいぐるみを撫でにきた。

「可愛いよね～本物みたいだし名前とか付けちゃう？」

「ええね、だてのハイヒールみたいな洒落た名前にする？」

話を聞けば舘さんは白虎のぬいぐるみにハイヒールって名前付けてるらしい。

何か舘さんらしい名前だよね。

「名前かぁ…」

昔はよく付けてたけどいざ言われると思い付かないかも。

悩んでる私を見かねたのかめめくんがぬいぐるみを撫でながら口を開いた。

「『マイト』なんてどう？」

「はぁ!?」

めめくんの提案に何故かラウールが叫んだんだけど、さっくんと康二くんに部屋の隅に連行されて行った。

「気にしなくていいよ、それよりマイトってカッコよくてこの子に似合ってるよね」

阿部ちゃんがニッコリと微笑む。

「…背中に黒い羽が見える…」

ふっかさんが小さく呟いたけど聞かなかった事にしよう。

「ほら、Aさんも呼んでみなよ」

めめくんも微笑みながら促してくる。

「マイト」

顔を見ながら呼んでみたら意外としっくりきたからそうしようかな。

「フフ…マイト可愛い」

ぎゅって抱きしめるとフカフカが顔に当たって気持ちいい。

「抱きまくらにしちゃおうかな」

「いいんじゃない？毎晩マイトをぎゅってしたげてよ」

ふっかさんが楽しそうに笑いながら薦めてくる。

不意に視線を感じてそちらを見ればニヤニヤ顔のさっくんと康二くんに挟まれたラウールが真っ赤な顔で此方を見ていた。

どうしたんだろう？

「ラウール、大丈夫？風邪？」

「ちっ、違うよ？」

慌てて首を振るラウール。

「それならいいけど、体調悪かったら言ってね？」

頷くラウールにそれ以上は追求せず、私はもう一度『マイト』を抱きしめた。