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「つ、疲れた……」
全ての書類とついでに髪をドライヤーで乾かし終えたAがカウンターに突っ伏しながら呟く。
「お疲れ、俺に感謝するんだな」
「いや、ドライヤーもタオルも持ってきてくれたのマスターだからね？君そこで笑ってただけだからね？」
「ドライヤー持って来いって言ったのは俺だろ」
Aからの非難に俺だって気を使ってやっただろと反論し。
黒霧はと言うと俺を適当にあしらいながらAの前に黄緑色の液体にミントが浮かんだカクテルを差し出した。
「ミントジュレップです。サービスですよ」
「ありがと、マス……」
黒霧に感謝を述べる途中で言葉が途切れる。そして苦笑いを浮かべてAは黒霧を見た。
「嬉しいけどさ、皮肉ってる？」
「いえいえ、違いますよ。私からの労いの言葉です」
「……どういう事だよ」
なんの話をしているのかさっぱりわからん。置いてけぼりになるのはあまり気分が良くない。
Aに向かって問うとAは口角をひきつらせて応えた。
「カクテル言葉だよ。明日への希望。絶望しか無いんだけど……」
美味しいから好きだけどね、と一口飲む。心なしかいつもより一口の減りが早い気がした。
「にしても君も笑うんだね」
「は？」
笑う？そりゃ面白いことがありゃ俺だって笑うだろ。
何当たり前なことを言ってんだ。
眉をひそめた俺にAは続けて言った。
「いや、君が笑ったとこ初めて見たから」
自分では結構普通に笑ってるつもりだったが。
こいつの前で笑ったことは無かっただろうか。
「俺だってお前がちゃんと笑うとこ見たことないけど」
「え、いっつも笑ってるじゃん。ほらにこー」
頬に指を当てて作り笑いをこっちに見せつけてくる。いつものような目が笑ってない下手くそな笑顔を。
「目死んでるからノーカン」
「んな殺生な。目ばっかりはどうしようも」
「できんだろ」
へらへらと笑ってたAが俺の言葉で動きを止めた。
俺の脳裏にはあの目が浮かび上がる。
あれがきっとこいつの本当の目なのだ。
もしあの目で笑ってくれたら、そう考えると不思議と気分が高揚した。
Aの死んだ目が真っ直ぐ俺のマスクから覗く左目を捉える。
心の内を見据えるような目。それを怯まずじっと見つめる。
「……さぁ？なんの事？」
数秒の後、Aは眉尻を下げとぼけた返事をして、最後の一口を飲み干した。
「……じゃあね、明日私の首が繋がってたらまた来るよ」
Aの顔が青かった気がしたが、それだけ言い残してAは帰って行った。
……あー、明日はあいつ来ないかもな。
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りんご同盟 - あっ…好きぃ (11月20日 23時) (
レス) @page35 id: ed24fa5325 (このIDを非表示/違反報告)
星宮暦(プロフ) - わぁ〜！神作見つけてしまった…更新頑張って下さい！応援してます！ (8月22日 0時) (レス) @page25 id: b26f71cce5 (このIDを非表示/違反報告)
11才のバカ - これは追うしかないっしょ！おもろ〜！好みドストライク。桜もちさに更新ガンバってください！ひそかに見学！ (5月9日 0時) (レス) @page17 id: 470dc29d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜もち | 作成日時：2023年3月30日 7時
