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「……A？」
声をかけるとAは、はっと我に返ったような表情を見せる。
瞬間、瞳に現れたそれは奥へと引っ込んでしまった。
失敗した。正直もう少しだけあれを見たかったのに、まぁいっか。
「……君は、壊れたおもちゃはすぐに捨てる派？それとも後で直そう、もしかしたら直せるかもって取っておく派？」
「は？何いきなり」
我に返ったかと思えば脈略もなくそんな話を切り出された。
なんの事かさっぱり分からず聞き返す。
「考えたんだ。ヒーロー殺しが何故ヒーローを殺すのか。彼はきっと、現代社会のヒーローは壊れてると判断したんだよ。」
視線はカクテルに向けたまま、Aは言葉を続ける。
「だから壊れたおもちゃを捨てて、おもちゃ箱を整理してるんじゃないかなって。」
ホントのとこは分かんないけどね。君は、どっち？
言葉と共に向けられた目はさっきのようなのではなくいつものような死んだ目。
さっきのあの目を見たあとだと、随分と興ざめする目だ。
……あー、なんかがっかりだな。
「壊れてても、壊れてなくても、いらないと思ったら捨てる」
「……あっは、論点ズレてる」
俺の答えを聞いて、つまらない目のままAは面白そうに笑った。
壊れてるか壊れてないかなんてのはどうでもいい、いらないものは、嫌いなものは全部捨てるのが俺の答えだ。
「お前は？」
「私？私は……んー。」
Aがカクテルを飲もうとした寸前に聞き返す。
自分が聞き返されるとは思っていなかったのか、少し考える素振りを見せて、どこか遠くの方を見ながら言った。
「まー、どちらにせよお気に入りは捨てたくないかなぁ。」
「お前も論点ズレてんじゃん」
「あれ、ほんとだ。」
そして今度こそグラスの残りを飲み干した。
あぁ、この時間も終わりだ。
空になったグラスの隣に金を置いて席を立つ。
「美味しかった。マスター、これ会計ね。明日は早いから、そろそろ失礼するよ。」
しかし扉ではなく、Aはこっちに近づいてきて。
姿を追う為に振り向こうとすると後ろから両肩に手を置かれ、あいつの顔が耳へ寄せられる。
「君と話すために来てるっての、嘘じゃないよ。」
「ッ！？」
耳を抑えてガバッ、と勢いよく後ろを振り向いた。Aはそれだけ言って満足したのか離れていく。
「じゃあね、マスター。死柄木くんも。」
背を向けたまま手をヒラヒラと振ってAは扉の向こうへ消えた。
まだ、俺にはあいつの心は見えない。
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りんご同盟 - あっ…好きぃ (11月20日 23時) (
レス) @page35 id: ed24fa5325 (このIDを非表示/違反報告)
星宮暦(プロフ) - わぁ〜！神作見つけてしまった…更新頑張って下さい！応援してます！ (8月22日 0時) (レス) @page25 id: b26f71cce5 (このIDを非表示/違反報告)
11才のバカ - これは追うしかないっしょ！おもろ〜！好みドストライク。桜もちさに更新ガンバってください！ひそかに見学！ (2023年5月9日 0時) (レス) @page17 id: 470dc29d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜もち | 作成日時：2023年3月30日 7時
