Chaser ページ13
痛かった。
熱かった。
寒かった。
苦しかった。
ずっと、助けを求めてた。
ヒーローが私を助けに来てくれるってずっと信じてた。
でも、どれだけ待ってもヒーローも、誰も助けてくれなかった。
私を見てはくれなかった。
─────────────────
椅子の背もたれに寄りかかり、ぼんやりと天井を仰ぐ。
ちらりとデスクに視線だけ下ろすと、白い湯気が立ち上るマグカップとその隣にチョコが入った箱が置いてあった。
「あー、いらなかったんだけどなぁ」
甘いのは嫌い。
ああ言ったのはマスターに席を外してもらい死柄木くんのことをからかうため───
”何されても文句ないってことだよなぁ？”
唐突にあの時の記憶が蘇り、胸が大きく脈を打つ。
「……ッ、はぁ……」
───違う、あれは、予想外な事が起きたからだ。
一つため息をつき、頭の中のそれを忘れるためにチョコを箱から無造作に一つつまんで口に入れる。
口の中に予想以上の甘さが広がったところで自分が食べたものがホワイトチョコだったことに気がついた。
甘さに耐えられずマグカップのコーヒーをぐい、と一気に飲みほす。
「……あま」
「お前、甘いの苦手じゃなかったか？」
思わずつぶやくと後ろから知った声が降ってきて。
振り向くと首元にぐるぐると包帯みたいな布を巻いた男が後ろに立っていた。
「あ、相澤くん。これいらない？」
本当は家に帰ったらすぐ捨てようと思ったのだが、バッグの中に入れっぱなしにしてしまったのだ。
返事を待つ間もなく目の前の教師は言った。
「俺なんかにやるより、生徒達にあげた方がいいんじゃないか？きっと喜ぶぞ」
「あっは、相変わらず生徒思いだねぇ、相澤くん。そんなあなたにはこのビターチョコっぽいのをあげましょう」
箱の中からチョコをつまんで先生の掌に乗っけてやる。
「あ、次授業だった。よかったら他の先生方と食べてよ」
箱を半ば無理やり相澤くんに押し付け、席を立つと化学の教科書を持って職員室を後にした。
──────────────
あー、授業遅れちゃうかも。
廊下を歩きながらスマホの時計を確認すると時刻はチャイム1分前。
すぐにスマホの時刻は変わり、途端にチャイムが校内に鳴り響く。
だけど私は急ぐ訳でも無くゆっくりと減速し、そのまま立ち止まった。
「生徒思い、か。」
───私の時は渋ったくせに。
「……そりゃそうですよね、相澤先生。」
だって、あなたはヒーローだもの。
窓の外を見るとあれほど満開だった桜の木は花をほとんど散らし寂しげに佇んでいた。
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りんご同盟 - あっ…好きぃ (11月20日 23時) (
レス) @page35 id: ed24fa5325 (このIDを非表示/違反報告)
星宮暦(プロフ) - わぁ〜！神作見つけてしまった…更新頑張って下さい！応援してます！ (8月22日 0時) (レス) @page25 id: b26f71cce5 (このIDを非表示/違反報告)
11才のバカ - これは追うしかないっしょ！おもろ〜！好みドストライク。桜もちさに更新ガンバってください！ひそかに見学！ (5月9日 0時) (レス) @page17 id: 470dc29d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜もち | 作成日時：2023年3月30日 7時
