■気付かないフリ ページ50
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「こうしろーちゃん？」
福井「なに」
え、なにこの不機嫌さ。会うの久しぶりやから？でも、仕事やったししゃあないやんな？
考えても考えてもそれくらいしか思いつかんくて頭をひねった。そんな私を宏志朗は睨みつけるように見てたかと思えば、急に泣きそうな顔になって、情緒不安定か？
福井「Aちゃん、俺大学頑張ってんねんで？」
「ん？知ってるよ」
福井「梅芸出たかったし」
「うん」
福井「干されてないし」
ああ、やっぱり情緒不安定か。干されてるわけやないことなんてみんな分かってるよ。
みんな、宏志朗が勉強を頑張ってることなんてわかってるよ。
金髪に染めてしまって痛んだ髪の毛を掬うように撫でてあげる。フワフワしてて、気持ちいい。顔を上げた宏志朗がスッと目を閉じるから、つられて私も目を閉じる。それやのに予想していた感触はなくて、「ん？」と目を開けたら、その瞬間キスをされた。
ジッと見つめあったままキスをするなんてどこで覚えてきてん。
「んっ、」
福井「はっ」
しばらく重ねていた唇を離した後の宏志朗の顔に、心臓がギューってなった。
「そんな顔せんの」
福井「もう子供やないで？」
「わかってるよ」
福井「ほんまに？」
「こうしろ？」
福井「……なんもない」
ああもう心臓を握りつぶされて死んでしまいそうや。
そんな艶っぽい顔で、なにかを求めるような目線を向けないでほしい。いつだって拒否してきたんは宏志朗やったやんか。
あかんって分かってる。この子だけは守りたいって思ってる。
福井「んっ、Aさん、すきっ」
「はぁ、ん、ぁ、やぁっ」
福井「ふふ、耳あかんの？」
「もおっ」
福井「可愛い」
守りたいと思う気持ちと、満たされたい欲とがせめぎ合う。あまりにもストレートな愛情にそれ以上が欲しくなる。
愛されていいじゃないか。答えられないなんてお互い分かってるんやから。どうせあの人とは一緒になれないんやから。こんなにも愛しく思えるんやから。
ぐちゃぐちゃの思考回路に考えるのをやめた。
「こぉしろ」
福井「その顔、ずるくないですか？」
「ズルくないもん」
福井「そやって落としてきたん？」
悪戯に笑う宏志朗の手を握った。それでも彼はキス以上をしてはくれんかった。
そこに孕む寂しさになんか気付いちゃいけない。
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まちか(プロフ) - めっちゃ好きです！そろそろ晴太郎ターンください！（笑） (2018年12月20日 0時) (
レス) id: 5f205cd414 (このIDを非表示/違反報告)
まみ - 面白くて一気に全部読んでしまいました...！！！また来ます！！！ (2018年12月17日 23時) (レス) id: c0bc11bb23 (このIDを非表示/違反報告)
Koto(プロフ) - 龍太くんとの絡み需要最高です！！！これからもできれば待ってます笑 (2018年12月14日 21時) (レス) id: 91da330f2b (このIDを非表示/違反報告)
ぶん(プロフ) - 龍太くんの絡み驚きました！！ここから丈くんだけでなく康二くん達の動きも気になります、、！これからの展開楽しみです！ (2018年12月10日 17時) (レス) id: 4670208eae (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 龍太くんとの絡み描いてくださってありがとうございます！これからどんな展開になって行くのか楽しみです (2018年12月9日 10時) (レス) id: eee4c66918 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi
| 作成日時：2018年8月14日 2時
