1 ページ2
利吉side
利吉「あ……降ってきたな」
忍務終了……と思ったら雨が降ってきた。
今日は一日中どんよりした天気だったが、
この時間になって降り出すとは。
雨はどんどん強くなって、私を濡らす。
さて、どうしようか。
明日は珍しく、仕事はひとつも入れていない。
そうなれば今から行きたいところなど、ひとつだけ。最近、ゆっくり会えていなかったし。
利吉「……ふぅ」
来てしまった。
障子の向こう側から、ぼんやりと灯りが見える。
まだ起きているのだろう。
……あぁ、この向こうに。
恋仲になって少し経つけれど、
未だに会う前はドキドキと緊張するのだ。
私は少しだけ障子を開けた。
利吉「A」
そこには針仕事をしているAの姿。
驚いて、まん丸な目で私を見ている。
『り、利吉さん』
手を止めて駆け寄ってきたAは、
とても焦った顔をして。
『わわ、ずぶ濡れじゃないですか』
利吉「そうなんだ、
ちょうど仕事が終わった頃に降り出してね」
そんな事構わず、Aに会いに来たんだ。
『とりあえず入ってください、拭かなきゃ』
利吉「はぁ……気持ち良いな」
あの後、寝間着を渡され、風邪を引くから風呂に
入ってきてくださいと言われたので、
ありがたく戴いている。
身体は温まり、疲れもお湯に溶けていく。
………もうこれ、このまま寝れるやつだ。
部屋に戻れば、Aが笑顔で迎えてくれた。
利吉「ありがとう、良い湯だった」
『良かったです。はい、お茶』
利吉「ありがとう」
仕上げに温かいお茶……ほっとする。
『あの……利吉さん……
私の考えてる事、わかったんですか？』
利吉「ん？」
『あ、会いたいなって……思ってたから』
Aは顔を真っ赤にして俯いた。
………そんな事、そんな顔して言われたら。
利吉「うーん、
Aの考えてる事がわかったっていうか……」
『………利吉さん、』
利吉「Aと同じ気持ちだったから、来たんだよ」
湯呑みを置いて
Aの頬に手を添えて、そっと口付けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はな(プロフ) - いとーさん» 初めまして！一気読みありがとうございます！疲れたでしょう…！ドキドキしてもらえて、嬉しいです。とにかく私の夢と妄想を詰め込んでいる作品ですが、よければこれからもお付き合いください。更新頑張ります！コメントありがとうございます:) (2021年4月5日 23時) (
レス) id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
いとー(プロフ) - はじめまして！今日この作品を一気読みさせていただきました！最初からずっと胸がドキドキします！！更新頑張ってください！ (2021年4月5日 9時) (レス) id: a04005cb99 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はな
| 作成日時：2021年2月27日 0時
