【忍たま】利吉さんはいじわるだ。【山田利吉】 (ページ46)

今日:87 hit、昨日:61 hit、合計:262,338 hit

44 ページ46

you side

『新野先生に手伝って頂いたんですけど、
　薬草園で採った物で作った傷薬です』

利吉「Aが、作ったのか」

利吉さんは驚いた顔をして私を見た。

『そうです、頑張って作りましたよ。
　先日一緒に出掛けた時のお礼と、
　色々とご迷惑を掛けてしまったお詫びにです。

　あと、利吉さんは仕事で忙しくしているから、
　怪我などしないようにご無事を願って』

恥ずかしくて一気に言い終えた私の顔は、
きっと真っ赤だと思う。

利吉「………A、手」

手？と自分の手を見ると、

利吉「手の甲に切り傷が…まだ新しい傷じゃないか」

『あ、そうなんです。薬草を採ったときに』

利吉「そうか…それなら、これを使うといい」

そう言うと、利吉さんは自分が持っている傷薬を、
私の手の甲に塗ってくれた。

『あ、ありがとうございます……』

あ、利吉さん持ってるんだ。
そりゃそうか、忍者なんだもん。
そういうのだって持ち歩くよね。

『ごめんなさい、利吉さん。私、余計な事を…』

利吉「Aにはこの、私の薬をあげる。
　私にはAが作ってくれたものがあるから」

『利吉さんの、ですか？』

利吉さんは私の手に、薬の入れ物を置いた。

利吉「Aは怪我をして放っておくんだから…
　これを持っていれば大丈夫だろう？

　どんくさいからすぐ使い切ってしまうかも
　しれないけど」

『なっ、どんくさいって！まぁ、そうですけど…』

まぁ、いつも言われることだけど。
実際そうなんだけど。もう、利吉さんは。

利吉「………作ってくれて、本当にありがとう。
　大切にするよ」

『いいえ。あぁよかった！
　貰ってくれるか心配しちゃいました』

なんだか照れてしまって、
私は冗談めかして言うけれど。

利吉「なぁA。

　私もいつだって、

　Aの無事を願っているんだよ」

利吉さんは私の大好きな笑顔で、

そう言うの。