【忍たま】利吉さんはいじわるだ。【山田利吉】 (ページ45)

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you side

新野「Aさんは何の薬を作りたいんだったかな」

『傷薬を。
　この薬草には、抗菌作用や止血作用があると
　本にあったんですが…』

そのために私は必要な薬草を採取してきた。

新野「うん、それで作れるね。利吉くんに？」

『えっ…ど、どうしてわかるんですか』

私、新野先生に言ったかな？
いやいや、言ってない。

新野「はは、見てればわかるよ。
　よく一緒にいるところを見掛けるし、
　君たちは見ていて何とももどかしい……」

『もどかしい？』

新野「ん、いやいや何もないよ。
　良い薬ができるといいね」

新野先生の言うことがよくわからなかったけれど。
良い薬ができるよう、頑張ろう。

暫くして、常備薬と傷薬が出来上がった。
軟膏なので、貝殻に入れて。

伊作「綺麗な貝殻ですね」

『新野先生、伊作くん、
　どうもありがとうございます』

新野「とんでもない。早く渡せるといいね」

私はふたりにお礼を言って、医務室を後にした。

教員長屋へ向かう途中に角を曲がると、

ドン！

『わぁ！…ご、ごめんなさい』

「おっと！すみません」

同時に謝って顔を上げてびっくり。

『利吉さん！』

利吉「A！」

なんというタイミング。

『山田先生の所ですか？』

利吉「あぁ。毎度毎度、大変だよ」

いつもと同じ会話だけれど、
私は少し緊張している。

『あ、あの、利吉さんに
　お渡ししたい物があるんです』

利吉「私に？」

先ほど作ったこの傷薬、貰ってくれるだろうか。
私は利吉さんに差し出した。