【忍たま】利吉さんはいじわるだ。【山田利吉】 (ページ32)

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you side

食堂でふたり、時間を過ごす。

利吉「うまい」

『ね、甘くてふわっとしていて』

向かい合って最近の忍術学園での出来事を話したり、私の失敗談を聞いてもらったり。

利吉「何もないところで転ぶって、さすがAだ」

『さすがって。
　でも本当、しっかりしなきゃ』

そう言ってカステラの最後の一口を食べた。

ふたりでご馳走様をして、私は食器を片付けた。
利吉さんが片付けると言ってくれたけれど、
お気持ちだけ頂いた。

片付けが終わった頃、利吉さんが話しだす。

利吉「そういえば、いつ行こうか」

『何処にですか？』

利吉「この間約束した、餡蜜」

『え、連れて行ってくれるんですか！』

先程その事を考えていたし、とても嬉しい。
それに本当は餡蜜よりも、利吉さんとお出かけできたらいいなと思っていたから。

利吉「…そんなに嬉しい？」

『勿論です。
利吉さんと一緒にお出かけなんて…………あ』

私、今言いましたか？
心の声が出ていましたか？

利吉「なんて？」

　
『餡蜜食べれるなんて嬉しいです』

利吉「違う。利吉さんと？」

そう言いながら
利吉さんはどんどん距離を詰めてくる。

利吉「一緒にお出かけ、嬉しいって？」

私の目の前には利吉さんの顔。
すっと伸びてくる手。

『あ、あの！利吉さんっ』

利吉「A、ほら」

『……はい？』

利吉「ずっとカステラ、口に付けて」

『……え？』

利吉「さすがAだよ、ずっと気付かない」

利吉さんはクスクス笑って、
私の口元に付いていたらしいカステラを手でつまみ

自分の口の中へ入れてしまった。

『た、食べた』

利吉「本当、しっかりしないと」

『た、食べ…』

利吉「あぁ、あと。

　私もAと出かけるのが楽しみだよ」

やっぱり、やっぱり

利吉さんはいじわるだ。