【忍たま】利吉さんはいじわるだ。【山田利吉】 (ページ24)

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you side

『なっ、泣いてなんかっ、』

気付けば頬は濡れていた。
手で涙を拭うけれど、次から次へと溢れてくる。

『ごめっ、ごめんなさ……』

もうこの状況に耐えられなくて
此処にいたくなくて、
私は利吉さんに背を向けた。
逃げ出してしまおうかと思った。

利吉「A」

名前を呼ばれたかと思えば。

背中に温かい衝撃があって。

私は抱きしめられていた。

利吉「A、泣かないで」

私を後ろからすっぽりと包み込む利吉さんが、
今どんな顔をしているかわからないけれど。
とても、とても優しい声がする。

利吉「A、勘違いしてほしくないから言うけど…
　私と北石は恋人同士でも何でもない」

　

『え？』

利吉さんの言葉に思わず頭だけ振り返る。

利吉「誰に聞いたのか、どうしてそう思っていたのか
　わからないけれど。
　 ……そんなに泣くほど、嫌だった？」

『っ！！』

急に顔に熱が集中するような感覚。
利吉さんの顔を見ていられなくて、
振り向いた頭を元に戻した。

利吉「誰かに言われた？」

誰かに……
今までの事が頭の中をグルグル駆け巡る。
私、どうしてそう思っていたんだろう。

あぁ、そうだ。

『………北石さんが利吉さんの話をするとき、
　とても幸せそうに見えて。

　こんなに素敵な笑顔で話すのだから、利吉さんと
　お互いに大切に思っているんだろうなって』

そう思ったから。
私のこの気持ちは閉じ込めなければと。

でもいつだって溢れてしまいそうで苦しかったのだ。