【忍たま】利吉さんはいじわるだ。【山田利吉】 (ページ19)

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you side

北石「……ちょっと利吉さん！
　私との約束忘れたんですか！？」

北石さんが大きな声を出したので、
一同動きが止まった。

利吉「いや忘れてないけど何怒ってるんだ」

北石「この子たちにばっかり構ってたら話が進まない
　んだから。場所を変えましょう」

利吉「はぁ？そんな大した話じゃな…」

北石「いいから！じゃぁね、みんな！」

利吉「ちょ、そんな引っ張るな。北石」

ぐいっと利吉さんの腕を掴み、北石さんは歩き出す。そのまま利吉さんは、半ば引き摺られる形で行ってしまった。

きり丸「………北石先生、
　そんな怒らなくたっていいのになぁ」

皆で食べている途中だったお団子を口に放り込む。
お茶はすっかり冷めてしまっていた。

乱太郎「ね、私たち邪魔しちゃったかな」

『待ち合わせしてるって、言ってたもんね』

私は新しい小袖を包み直してから
お団子の勘定を済ませ、そろそろ帰ろうかと帰路についた。

『皆、今日はありがとう。とっても楽しかった！』

ｼﾝﾍﾞｴ「また一緒にうどんにお団子に食べに
　いきましょぉ！」
　

乱太郎「こらこら」

学園に着き3人と別れた私は、自室へと帰ってきた。ひとりになった途端に思い出すのは先程の事。

新しい小袖を褒めてもらえて嬉しい、なんて思って。
だけど北石さんの、利吉さんを呼ぶ声で
現実に引き戻されて。

いつもこうして、北石さんと待ち合わせをして
出かけたりしているんだろうなと想像して。
勝手に辛くなって。

この胸の中で。もう少しだけ想わせて。
と願ったけれど

『どうしたら諦められる……？』

夢見たって恋い焦がれたって
貴方に届くことなんてないのに。

大切に仕舞っていた似顔絵を見つめ、

涙が頬を伝った。