【忍たま】利吉さんはいじわるだ。【山田利吉】 (ページ13)

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you side

乱太郎くんに頂いた似顔絵を、襟の内側に仕舞った。
とっても嬉しい。

欲しい理由を乱太郎くんに聞かれなくてよかった。
好きな人のだから、なんて
恥ずかしくて絶対に言えない。

そう。言えないし、言ってはいけないのだ。

だって利吉さんには、北石照代さんという大切な方がいらっしゃるのだから。

『想うだけなら、許されるかな』

貴方に時々会って話して、それで嬉しかったけれど。
そんな気持ちも、閉じ込めてしまわなければならないのかもしれない。

『お遣いから戻りました。
　お饅頭、たくさんありますよ』

学園長「お帰り、Aくん。おぉ～！
　これじゃこれじゃ。ありがとう」

『いえいえ。私、お茶を淹れてきますね』

学園長先生、喜んでくれてよかった。
事務室へ戻る途中、襟からそっと紙を出してみる。
本当に上手に、そっくり描けている。
やっぱり素敵だなぁなんて思いながら眺めていると、思いがけない声がした。

「ここにいたのか、A」

利吉さんだ。
もう特別授業を終えて帰ったと思っていた。
私は慌てて紙を折り畳んで襟の中へ仕舞った。

『こ、こんにちは。利吉さん』

利吉「今日は小袖で過ごしているのか？」

そういえば着替えてなかった。

『はい。さっきお遣いに行ってから、
　そのままなんです』

利吉「Aのそういう格好、
　あまり見ないから新鮮だな」

『あぁ、たしかに。そうですね』

いつものような、会話。

そう思っていたのに。

利吉「ん？何か、襟から見えている…あ、落ちた」

なんとまぁ仕舞ったと思ったのに、
襟から地面にハラリと落ちてしまったのだ。
利吉さんの、似顔絵が。

私、最大のピンチ。