【忍たま】利吉くんの好きな人。【山田利吉】

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you side



照代のばかぁ！



利吉くんから逃げるように食堂を出てきたのに、
あっさりと見つかってしまった。



そして、塀の上で利吉くんと絶賛睨み合い中だ。




利吉「逃げなくても良いでしょう？」



『だって』



利吉「土井先生には会いに来るんですね」



『別に良いでしょ』



利吉「良くありませんよ。私からは逃げるのに」




利吉くんにはわからない。
私が利吉くんから逃げたい理由なんて。




『……私、忙しいから』




そう言って塀から外へ飛び降りようとしたけれど、
それは叶わなかった。






利吉「捕まえた」





私の手首は利吉くんに捕まってしまったから。



あぁ、なんてこと。
忍としての実力の差だわ、なんて考えてしまった。




『離してください』



利吉「嫌です。離したら逃げるでしょう」



『…………』




その通りなんだけれど、
なんとなく返事が返せない。

私は口をつぐんで黙るしかなかった。





利吉「……ねぇ、行かないで。Aさん」





今、利吉くんの手を振り解こうとしても、
びくともしないだろう。

それくらい強く掴まれた手首。




それなのに




利吉「私が嫌い……？」




そんなことを言い出すし、この手の力加減とは裏腹に、
なんて切ないような顔をするの。



私がどうして悩むかって、
貴方から逃げてしまうって。





『……き、きら……い、』





"……な、わけがない"



そう続けたかったのに。





利吉「………そう」





あっさりと私の手首を離した利吉くんは、
そのたった一言だけ呟いた。



その隙に塀から外へ飛び降りて
とにかく姿をくらませたけれど。



別に、"嫌い"と理解して貰って構わないのに、
そのはずなのに。





『……痛い』





私の心は、どうして痛むのだろうか。


何を、望んでいるのだろうか。





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作者、コロナ陽性のため療養中です。
更新が滞ってしまい、申し訳ありません！

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