【忍たま】利吉くんの好きな人。【山田利吉】

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you side


仕事帰りに通り過ぎようとした合戦場。
合戦も盛り上がっているなぁ……
この表現が合っているかは不明。



早く帰れば良いのに、このまま家に帰るだけだし
私は足を止めて木の枝に腰を下ろした。


この合戦はどちらが優勢だとか
更には最近のあらゆることがどうでも良かった。

先日、自分の中で封印していた"好きな人"について
思い出してしまったからだ。




『忘れろ我が脳よ』




自分に言い聞かすけれど、これも何度目だろうか。
むしろ誰かに話せば楽になったりして。



なんて考えていると、




「何ごにょごにょ言ってんです、Aさん」




隣にふっと座ったのは利吉くんだった。
珍しく、わかりやすい気配だだ漏れで。




『気配消さないんだね。漏れっ漏れだよ利吉くん』



利吉「何ですかそのいやらしい表現」



『相変わらずだね』




だけど、どうしてか私は安心した。
先日、私の家から追い出してしまったのに、
いつもどおりの利吉くんに、安心した。




利吉「いや、Aさんを見付けたからです。
　 気配もなく現れたら、驚くでしょう？」




あんた、前にそれで我が家に現れたんだけどね。




利吉「私に会いに来てくれたんですね、嬉しい」




そう言って、利吉くんは私の頭を撫でた。
私はその手をパッと払う。




『会いに来てません。通り掛かっただけ』



利吉「またまた」



『……これ、仕事なの？』




仕事で来ているなら、邪魔しちゃ駄目だしな。
すると利吉くんはにっこり笑って、
また私の頭に手を置いた。




利吉「今日は個人的にこの合戦を見に来たんです。
　 もう終わりますから……ねぇAさん」




頭に手を置いたまま、利吉くんは私をぐっと
覗き込むように顔を近付けてきた。




利吉「顔、赤いよ？」




『え？』




私の身体はふわりと浮いた。





◆◇




どこどこどこ。

どこなの、ここ。



いや、その前に！




『……っあの、降ろして利吉くん！』




なんだか乱暴に担がれてるんですけど！
肩に担がれているため、前が見えない。




利吉「はいはい、まぁ大人しくしてください」




ガラリと音を立てて開いた板戸。

利吉くんは私を担いだまま中に入るけれど、
窓は締め切られているために中は薄暗い。




『ど、どこなのここ！』



利吉「ん？私の家ですよ」




暴れた。

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