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you side



利吉「私はAが好きなんです。
  だから邪魔しないでください」



土井「んなっ……いや、でも!」



利吉「私は、Aのことを、
  ひとりの女性として、好きなんです。
  保護者の土井先生とは違うんです」


土井「ほ、保護者って……!!」




区切ってハキハキと言う利吉くん。
そんなに言われたら、少し恥ずかしい気もしてきた。




利吉「ね、だからAにも
  私を好きになって欲しいな」



土井「あっ、また!」




そう言って、また私の身体を引き寄せようとした
利吉くんを阻止する土井先生。




土井「油断も隙もないのは、利吉くんだよ」




土井先生は大きな溜め息を吐く。


どうして土井先生は、
私と利吉くんが一緒にいると嫌なんだろう。
その答えは、まだ教えてもらっていない。

教えてもらっていないということは、
土井先生自身も、まだわからないということで。






それにしても、わぁわぁと騒ぎ続けるふたり。

私は眺めているだけなんだけれど、
にこにこして隣に座っていた伊作が動き出した。



だん、と片膝をついて体勢を起こすと、




伊作「すみません。Aさんの診察をしますので、
  お二方は出ていってくださいね」




その笑顔に隠しきれない苛々が滲み出ている。




「「わぁ!」」




土井先生と利吉くんのふたりを、
ぺいっと廊下につまみ出してしまった。


普段ほわほわして可愛らしい伊作も、保健委員の仕事とあらばキリッとシャキッとするのだ。




伊作「ったくもう……お待たせしましたAさん。
  一度傷を見てから、
  包帯を外しても良いか決めましょう」




私の前に座り直した伊作は、
いつもの柔らかい笑顔に戻っていた。



『……お願いします』




私は小袖を脱いで、
しゅるしゅると包帯を外していく。




伊作「痛みはないですか?」



『うん』




自分から見える範囲でも
やっぱり傷は残っているけれど、それで良い。



もう痛みはないから。



こんな風に、心も元気になるように。




伊作「よし、それじゃぁ
  包帯生活はお終いで結構ですよ」




ほわほわっと微笑む伊作の笑顔が、羨ましく感じて





ー笑える日がきっとくるからー





そんな土井先生の言葉を思い出した。

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設定タグ:忍たま , 土井先生 , 土井半助   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:はな | 作成日時:2021年6月1日 23時

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