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you side
『ありがとう。伊作、皆』
伊作「いいえ!ご一緒できて良かったです」
夕食はとっても美味しかった。
伊作が声を掛けてくれたので、
六年生の席にご一緒させてもらった。
それからささっと入浴を済ませた。
「あら、Aさん?」
手ぬぐいを被って縁側に座っていると、
山本シナ先生が通りかかった。
ちなみに今日はお若い方だ。
山本「どうしたの?湯冷めしちゃ……あら!
髪、濡れてるわ。拭かないとね」
『……駄目ですね、自分でやらなくちゃ』
山本「あらあら……うふふ」
綺麗な笑顔を見せた後、
山本先生は手ぬぐいを被った私の頭を
後ろから優しく包み込んだ。
山本先生の良い香りに、
ふわふわとそのまま眠ってしまいそう。
山本「……土井先生、出張だものね」
『え』
山本「彼のことだから、
きっと四六時中、Aさんの心配してるわね」
『え、え、山本先生っ……』
私と土井先生の関係を知っているような言い方に、
思わずばっと振り返った。
山本先生はきょとんとした顔をしたけれど、
次にはにっこり微笑んで、
山本「だって土井先生ったら、
最近とーっても幸せそうよ?
Aさんのおかげで」
『えっ!そんな、私……』
そんな……
幸せで仕方がないのは、私の方なのに。
でも、そうだとしたら嬉しくて恥ずかしくて……
私は両頬を自分の手で包んで、ほうっと息を吐いた。
山本「土井先生が恋する姿なんて、初めて見るもの。
貴女が大好きで、大切なのね。
……さぁ、これで乾いたわ。早く寝るのよ?」
『あ、ありがとうございます……』
ぽんぽんと優しく私の頭を撫でて、
山本先生は一瞬にして消えてしまった。
月明かりがぼんやりと差し込む部屋。
ぼうっと天井を見つめて、思い出す。
気持ちが通じ合って、
抱きしめてくれたこと、口付けをしたこと。
きゅうっと胸が締まるような感覚に、
心地良ささえ感じて。
『会いたいな……』
無島に帰ってきますように、
そう願って私は目を閉じた。
土井「Aさん寝たかなぁ、心配だなぁ……」
山田「あーもう!早く寝なさい半助!」
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作者名:はな | 作成日時:2021年6月1日 23時